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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第8章 ニシン漁へ



叔父「獲物に刺さるとこのモリ先だけが体内に残り結んである綱で獲物をたぐり寄せる」


ア「モリ先には持ち主の印が彫ってあって、たとえ逃がしてどこかの浜辺に打ち上げられても自分の獲物と主張できるんだ」


物知りなアシㇼパにモリが不思議な形をしている訳などを詳しく聞いていると、「あ、来たぞ!!」と興奮気味に叔父さんが叫んだ。

すると直ぐに海面の下の方から黒く大きな影がゆらりと動いたかと思うと、クジラが息をするために上がってきた。
流石クジラ。大きいし、思っていたよりも近い。



ア「首だ!首の皮膚がやわらかいぞ」


と狙いどころをアドバイスしてくるアシリパに対して、杉元とユメコは『「どこが首かわかんねぇよ」』と思いながらも、首を狙えと言われれば、それらしき場所へと狙いを定める。

クジラはもちろん動くので、先程よりも結構距離が離れてきていたがユメコは持ち前の肩の強さとナイフ投げて培った本能的なものでモリを投げ打った。
ユメコが投げたモリはアシㇼパのいうクジラの首であろう付近に深深と刺すことが出来た。
同時に杉元もモリを力いっぱい投げ飛ばすと、そちらも同様に動くクジラの体へ刺すことが出来た。

ア「すごいなユメコは!」


アシㇼパに褒められた!彼女のセリフに「(女性なのに)」という意味合いが含まれているのに気がつく。
すると、襲われてると分かるのだろう。痛みからか、直ぐにクジラが逃げようと行動に移すのだがそれにつられるように船も突如として猛スピードで前進し始めた。


「振り落とされるな!!」

「この時期の海でも死ぬには充分な冷たさだぞ」


と注意を促されながら、必死に船にしがみつくが、何せ凄まじいスピードと揺れだ。
漕いで進む分には疲れるが、まだ楽しかった。
クジラの動きに合わせた波の揺れ。舟が縦に横にと不規則に動く。ユメコは水飛沫を全身に受け、気分が悪くなり始めていた。

『……うっ、これはちょっと……』


何しろ、普段から胸にサラシを巻き圧迫されているのもある。
サラシを緩めれば少しばかりは気分も良くなりそうだが、振り落とされないように舟にしがみつくことだけで精一杯で、それどころではない。
結んだ長髪も、風を受け顔を叩いて痛いし潮風も吹いてベタベタしてくっつくわと散々だ。
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