【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第8章 ニシン漁へ
『海だぁあ!』
歩き疲れていたのもあるが、目的地にやっと着いたのだ。ヤッター☆とばかりに、皆で浜辺でジャンプをして身体全体で嬉しさを表現した。
白石が直ぐに、「漁師以外にも働いている人からたくさん人がいる。辺見はそいつらに紛れて働いているかもしれねぇな」と、言っているとどこからともなく「アシㇼパ!!」と声をかけてくる人がいた。
アシㇼパのアチャポ(叔父さん)だった。
彼は「いいところに来た!」と、どうやら別の村の人がクジラをみつけ、モリを打ち込んだらしいのだが、昨日から引っ張り回されているらしいので、クジラの捕獲の為に加勢して欲しいようだ。
ア「いや、私たちは……───」
──
───
────
「急げ急げ!もっと漕ぐんだ杉元!!」
そのまま叔父さんにゴリ押しされ、断りきれずクジラ漁の手伝いとなった一同は、パドルやオールと呼ばれる道具を使い、クジラを捕まえる為、クジラにモリを突き刺して引っ張り回されているという舟と合流する為に、舟を急いで漕いでいるところである。
なんやかんや断ろうとしていアシㇼパだったが、元々「クジラを食べに行こう」と言っていたのは彼女である。
舟は小型で手漕ぎだ。
白石のみが分かれ、別の舟にアイヌの人と共に乗せられた。
杉「なんで俺たちが…」
ア「アチャポ、あの船だ。間に合った」
漸く目的である他のアイヌの舟と合流するも、目当てであるクジラの姿は見当たらない。
杉「クジラは?」
『クジラ…居なくない?』
クジラがいると聞きつけてやってきた割には、そのクジラがどこにもいないのだ。
みんなでキョロキョロと周りを見渡していると
叔父「フンペ(クジラ)は潜ってる。でもそのうち息をするために上がってくる。姿を見せたらこのキテ(銛)を投げ飛ばす。3本あるから杉元とユメコも投げてみろ。気をつけろよ、モリ先の刃には毒が塗ってある」
叔父さんが狭い舟の上で器用に立ちながらモリを渡してくる。
モリを手渡されると、不思議な形をしていたので興味津々と好奇心から見ていた。
刃先はどうなっているのか、切れ味がいいものなのか、ただ刺すためだけのものなのかと気になってしまい、触れようとしたところ、刃先にだけは触らぬよう、気をつけるようにと注意された。