【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第8章 ニシン漁へ
道中、囚人について尋ねられた白石は「辺見和雄」がごく普通の礼儀正しく人当たりが良い人間と思っていたが、奴にとって人殺しは息をするのと一緒らしいぜ、と警戒するよう注意してきた。
白石が「辺見」に、なぜ人を殺すのかとたずねると、本人も分からないようで困惑していたが、ある時きっかけのようなものを教えてくれたのだと言う。
辺見曰く
──
────
僕が育った裏山には竹林があって大きなイノシシが住み着いていたんですが…
そのイノシシが僕の弟を喰っちゃったんです
僕は幼い弟が泣き叫んでるのをただ隠れて見てるだけだった
必死で抵抗してもなすすべなく
話の通じない化け物にむごたらしく殺される
身の毛のよだつ死に方…
どれだけ痛くて怖かったか
絶望して光を失っていく弟の目………
あの目を思い出すと……
誰でもいいからぶっ殺したくなるんです
───
──
と、股間をモッコリさせながら言っていたそうな。
股間をモッコリってどういう意味?
人が殺される瞬間を見るのが好きって言うこと?
そういう性癖?
とユメコは反応に困ったが、人の数だけ性癖があるのだ、人が痛がる姿や泣きそうな顔をすると興奮する人間なのかもしれない。そういう人間にだけは殺されたくないと思いながら話を聞いていた。
因みに辺見は金塊には興味が無いことも白石には伝えていたようだ。
杉「矛盾してないか?捕まらないように移動し続けるような用心深い奴がなんだって他の囚人をおびき寄せるような手がかりを残すんだ?」
白「辺見の頭の中なんて理解したくもないね」
ア「飲んだくれているただのブタかと思った白石が金塊の手がかりを持ってくるとはな。私の中で白石の地位はグッと上がってリュウのちょっと下だ」
白「うれしいね」
リュウよりも地位が下だとアシㇼパに言われると、若干顔を引きつらせながらも、嬉しいと答える白石は、案外思っていたよりも大人の対応をしている。
そうやって囚人や、クジラ、金塊等について談笑しながら歩いていくと、漸く目的の海岸に到着した。