【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第6章 金塊について
白「おいおいおい、まさかユメコちゃんって、この話知らねぇんじゃ…?」
杉「ユメコさん、これは、あの、その…ユメコさんには関係ない話だから気にしないで!」
首や手を横に振りながらユメコに話を聞かれてしまった!とばかりに慌てる2人をよそにアシㇼパが落ち着いた声で話し出す。
ア「いや、ユメコにもきちんと話をしておくべきだ。…それにユメコも私たちと一緒に旅に出ることになるはずだ。」
そういうとアシㇼパは、前回ユメコと街であった時の変な絵柄の入れ墨を入れた男たちを探していた理由を「ちょっと長くなるが、聞いてくれ」と、ぽつりぽつりと話し始めた。
元々は日露戦争から帰ったばかりの杉元が一攫千金をめざし、砂金を探しに北海道へと来たことが発端だ。
杉元がそこで知り合った酔っぱらいのオジサンに話を聞かされたそうだ──
1部のアイヌたちが密かに軍資金として砂金をごっそりと貯めていたと。
それをほかのアイヌを殺し、ひとりのアイヌがブン盗った。
盗られた金の量は20貫、八萬圓の金塊
(現代の価値でおよそ8億円相当)
警察に追われたその男は金塊を北海道のどこかへと隠したが、誰かに教える前に捕まったらしい。
死刑囚として地の果ての牢獄、網走監獄にぶち込まれる。
監獄にいる男が外の仲間に金塊の在処を伝える為に、手紙を書こうものならば看守が盗まれる可能性もあり、その男は拷問をされても何も吐かなかった。
挙句の果てには脱獄できないようにと片方の足の筋まで切られた。
そこで男は同房になった死刑囚である囚人たちの身体に埋蔵金のありかを示した暗号の入れ墨を入れたこと。
無事に牢獄から逃げ出した囚人には金塊の分け前を半分与えると言われたこと。
囚人たちの入れ墨は全員でひとつの暗号になっているらしく、噂を聞いた屯田兵のはみ出し連中が金塊欲しさに死刑囚たちを強制的に連れ出したところで、逃げる隙を伺っていた囚人たちが護衛の兵隊を皆殺しにし、逃げ出した───
という話らしいのだ。