【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第6章 金塊について
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アイヌにとって鮭は「神の魚」「本当の食べ物」と呼ぶほど食生活の中心だった。
不思議な食感のルイペに感動しつつ食べていると、フチが饒舌に喋り出す──と、いってもアイヌ語で語るので和人である皆には理解ができず、アシリパがアイヌ語を訳してくれる。
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神の魚がいるおかげで
私たちは生きているのだ
でもある時から神の魚が川をのぼってこなくなった
男たちが砂金を採って皮を汚したせいだ
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杉「おばあさん、なんだって?」
ア「フチの鮭にまつわるウパシクマ(言い伝え)だ」
アイヌは文字を持たなかったため、叙事詩 神謡など色々な口承文芸で歴史や精神を伝えた。
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同じことが 日高 釧路 白老 あちこちで起こった
砂金は村の代表者が船を使い海を通って1箇所に集められた
それが何年か続いたので鮭は採れなくなり
生活は苦しくなった
アイヌは話し合い 砂金を採るのをやめた
争いの元となる砂金はそのまま隠され
話すことも禁じられた
やがてみんな年老いて
金塊のありかを知るものはこの村の年寄りひとりだけになった
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杉「その年寄りものっぺらぼうに殺された」
白「いやいや…ちょっとまて、それが例の埋蔵金ってことか?北海道各地から何年もかけて集められたって?」
ア「このウパシクマは私も初めてきいた」
砂金や金塊を沢山採ったせいで、鮭が採れにくくなった、という鮭のルイペの話はわかる。
しかしながら〝砂金〟や〝金塊〟といったワードが入ってきたことに対して、杉元や白石たちが妙に反応を示し始めたことに、ユメコは疑問に思い始めた。
『…なぜ皆、鮭が採れにくくなったことに対してじゃなくて、金塊の方に興味を示すんだ?』
ふとユメコが気になったことを口にする。
その言葉に杉元達が驚いたように顔を上げ、ユメコのほうを見た。