【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第5章 白石、谷垣との出会い
ユメコと握手をしたままの白石は、アシㇼパからストゥでぶん殴る宣言をされながら既にストゥで膝裏や腰やらを殴られているし、杉元には背後から首に腕を回された状態で首を絞められてしまい、慌ただしく喚く。
握手していた手が離されると、ユメコは軽く息を吐きながらアシㇼパと杉元に制裁される白石を放置し、怪我人である軍服の彼に向き直った。
名前については、今アシㇼパ達が口にしていたし、名乗らなくてもいいだろう。と無責任なことを考えていた。
『ふぅ…。夢乃ユメコです。以前お会いしたことがありますよね?改めてよろしくお願いしますね』
オソマとオソマのお父さん(アシㇼパの叔父さん)に、励まされたばかりの彼に笑顔を向けると彼はどう反応したらよいのか分からないような顔をしてこちらを見ていたが、ボソリと
谷「……谷垣 源次郎だ。」
と小さな声で答えた。
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ア「鹿肉もまだたくさんあるし食事にしよう」
アシㇼパが火をつけるための木材を抱えながらみんなに話しかける。
アイヌにはアイヌの調理方法があるので、味付けはアシㇼパに任せて、ユメコは肉や野菜(野草)を切ったりと下準備を手伝う。
その間にもシライシヨシタケが話しかけてくるが、どうやら彼はユメコのことを男と思っているようなのだが、男でも抱ける発言をしてきた白石だ。ユメコが女だと分かれば大変なことになると、敢えて誰も訂正しないままでいた。
ちなみに苗字が白石で、由竹が名前らしい。
あっという間に鹿肉の鍋【ユクオハウ】が出来上がった。プクキサナ(ニリンソウ)とプクサ(行者にんにく)も入れて栄養たっぷりのお鍋である。
杉「うんうんヒンナ!鹿肉は煮込んでもヒンナだぜ!」
白「たしかにヒンナ」
ユメコは鹿肉なんてたべたことがなかったが、明治時代に来てからは何度か口にしたことがあった。
ジビエ料理としてはテレビ等で見たことがある。
サバイバル系のテレビ等では芸人さんと呼ばれる人がワイルドに串にさして食べているのを見たことがあったが、鹿肉は筋が多く、それなりに獣の臭いと食べたその人が言っていた。
しかし、この鍋は男たちが言うようにしっかりと煮込んであるし、アシㇼパが野菜(山菜)も入れてくれたので、柔らかくて美味しい。