【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第5章 白石、谷垣との出会い
男二人がヒンナヒンナだといいながら、熱そうにハフハフしながらもお椀を傾け、食べ進めていく。
すると急に隣に座っているアシㇼパが手を止め「クックックッ」と急に笑い出す。
杉「どうした?」
ア「杉元……。またオソマ入れなきゃいいけど……」
杉「え?」
ボソっと小さな声でオソマとか言い出したアシㇼパに杉元が驚いた声を上げ、ユメコもまた、驚いた顔でアシㇼパと杉元を見る。
ア「杉元……。この鍋にまた……オソマ(う〇こ)入れなきゃいいけど………」
しかし、そんなユメコに気づかず、アシㇼパはチラチラと何度も杉元を見ては、「オソマ(うん〇)入れなきゃいいけど」と繰り返すのだ。
杉「あ……あぁ………」
『え、佐一…、オソマを食べるの……?!いや、食べ物の好みとか食べ方は人それぞれだけど…』
信じられないとばかりに杉元をみると、杉元が慌てて首を横に振り
杉「ち、違う!ユメコさん誤解だから」
杉元は自分の荷物の中から曲げわっぱを取り出すと、アシㇼパの前で蓋をとり、彼女に見せる。
ア「ええ〜?またか?杉元ぉ、お前……オソマ好きだな〜。杉元は本当にオソマが好きだなぁ?」
どうやら杉元の差し出す曲げわっぱの中身は味噌のようで、杉元と白石の顔は無表情になっているところを見ると、どうやらアシㇼパは味噌のことを大層気に入っていて、こういう会話はよくあることなのだと気づいた。
そして、アシㇼパは味噌のことをオソマと呼んでいるらしい。
文化の違いなのかもしれないが、何故誰もアシㇼパに味噌は豆を発酵させたものだと教えなかったのかと気になるところだが、2人が無表情なのをみていると、多分伝えたのかもしれないけれど、アシㇼパが味噌をオソマと呼んで楽しんでいるのかもしれないと思い直し、あえて口にすることは無かった。