【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第5章 白石、谷垣との出会い
「シンナキサラッ!」
子供たちと遊ぶのに疲れ、フチ(アシㇼパのおばあちゃん)の家の掃除を行っていると、急にオソマちゃんの大きな声が聞こえてきた。
『(シンナキサラッて確か、変な耳…って意味だったっけ?)』
このアイヌコタン(村)に誰か和人が尋ねてきたのかもしれないと思っていると、チセ(家)の外からは成人した男性の声もいくつか聞こえてくる。
チセから顔を出し、ちらりと見やると、アイヌの子供たちが男たちを囲み、興味深そうに眺めていた。そこに見知った顔もみつけ、思わずユメコはチセを飛び出す。
『アシㇼパ!!!』
ユメコが声をかけながらアシㇼパに駆け寄ると、思わず抱きしめた。アシㇼパはそんなタックル紛いの行動に驚きながらも、ユメコの抱擁を優しく受け止める。
「……ユメコ?!何故ここに、いや、一体いつ来たんだ?」
アシㇼパの小さな体をスリスリと撫で回すように抱擁しているユメコなのに、嫌がる素振りを見せるどころか、嬉しそうに答えるアシㇼパ。
ふとアシㇼパに抱きついたまま、コタンにきた男たちをみると、1人は安否が分からなくなっていた杉元であった。
『佐一、無事だったんだね!第七師団に捕まった後、火事になってから安否が分からなかったから…心配してたんだ』
ア「そうか。ユメコは杉元と一緒に第七師団に捕まってたんだったな。アイツは不死身の杉元だから、大丈夫だぞ」
杉「……ユメコさん。俺はちゃんと生きてるよ。俺もユメコさんの事気になってたんだ、また会えて嬉しいよ」
アシㇼパとは別に、心配していた杉元、坊主頭のおちゃらけた雰囲気の男性、担架のようなもので運ばれてきた男性がいた。
どうやら担架に乗る男性はアイヌの人達が使うアマッポという毒矢をしかけた罠に掛かったらしい。
このアマッポという罠にはアイヌの人達がそれぞれ個人で毒の調合をする為、解毒剤がないらしいのだ…。
その為、薬が豊富に置いてあるコタンで治療をするために帰宅したようだ。