【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第4章 巻き込まれる
───翌日。
昨日の夜に第七師団で火災が起き、燃えてしまったという話を給仕たちの噂で聞いた。
実際に何があったのか、杉元や鶴見などは無事なのかと心配していたが、鶴見の部下を名乗る者たちが食事がてらユメコに「不死身の杉元」が訪れてないか、匿っていないかなどの確認をしに来た。
突然の事に驚きつつも、ユメコを1人で対応させるのを心配した女将が同伴した。
話を聞くと、詳しいことは分からないが、以前尋ねられた「ふじみ」というのがアシㇼパの連れであり、ユメコが食事を共にした杉元の異名だったことを知る。
その不死身の杉元が第七師団の兵舎から抜け出したかと思うと、その後突如として火災が発生したと言うのだ。
ユメコはその話を聞き、別れたあとの杉元の安否を心配していたが、第七師団の者がこうしてユメコの元を訪れ、わざわざ確認をとるということは、無事に生きている可能性が高いと考え直した。
第七師団の者たちが、杉元とユメコがその後会っていないことを確認し、立ち去ったのを目視すると
暫くしてユメコは女将に向き直った。
『女将さん、すみません。……今すぐという訳では無いんですけど…私、あの子(アシㇼパ)に、会いに行きます。』
ユメコはアシㇼパと杉元が再会しているのを一切知らずに過ごしていたので、アシㇼパに会い、行方がわからなくなった杉元のことを伝えなければと思っていた。
元々、ユメコは此処で一生涯働くつもりはなく、衣食住を提供してくれる女将夫婦の為に恩返しとして厨房の手伝いをしていたのだ。
また、恩返しを行いながらも、いつかは自分を探す旅をするつもりで、その為に資金を貯めたいので暫くでいいので雇って貰えないかと頭を下げ、前々から頼み込んでいたのだ。
そんな無茶なお願いを、女将夫婦は快く承諾してくれていたのである。
「…そう。前から言ってた旅に出ようとしているのね。……貴女がいなくなると寂しくなるわ。」
と、悲しそうにいうので、ユメコは
『ははっ、辞めるわけじゃないです。今までのようにブラブラしてから、またここに戻ってきますよ。今までだって山に何度足を運んでも見つからなかったんですからね』
と、暗くなった雰囲気を明るくしようと、そう返した。