【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第4章 巻き込まれる
「私はお前の死神だ。お前の寿命のロウソクは私がいつでも吹き消せるぞ」
口から息を吐き出しながら脅すように話し出す鶴見を横目に見ながらも、ユメコは混乱したまま、鶴見中尉とその部下たちに囲まれている杉元の元へ走りよった。
『 一体、何事ですか!』
と杉元を庇う様の立ち塞がってみた。
その姿を見た鶴見は、周りの軍人たちがユメコの行動を抑制しようと動き出す前に手で制しつつ、一瞬顔を顰めるも、すぐに先程までのニヤリとした顔を作り
「おやぁ、夢乃さんじゃありませんか。またお会いしましたな。」
と、呟いた。
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突然、第七師団に連れていかれる杉元に、同行するように着いてきたユメコは、以前にも来たことのある兵舎に足を踏み入れていた。
杉元は、手を拘束され、怪我の処置もされないまま椅子に座った状態だが、そんな彼はの周りには兵士たちが囲むように立ち、銃口を向けている。
そんな杉元と並ぶように椅子に座ることを促されるユメコには、手錠のような拘束具も何も無く、自由に動ける。
この差は何なのかと疑問に思うが、きっと杉元が暴れるからなのかもしれないと思い直し、敢えて口にしなかった。
ユメコが、隣の椅子に着席するや否や、杉元が口を開く。
「俺は怪我させられた娼婦の上客に頼まれただけだ。妙な入れ墨の男を探してそいつに仕返しをしてくれって。その娼婦を呼んでくれっていったのに銃を持った連中が囲んできたら、わけも分からず逃げ出したくなるものだろ?」
敵陣の最中とも取れるような状態なのだが
銃口を向けられているのに、堂々と言い放つ杉元には、話しながらも部屋を見回せるほど余裕があるようだ。