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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第1章 プロローグ




布団に入ったままの状態で、暫く部屋の中を観察していると、不意に襖が開き、奥から中年の女性が姿を現した。
目を覚ましたユメコを見ると、一瞬驚いたように目を開くが、すぐに目尻を下げ、ふんわりと微笑みを浮かべる。


「お前さん、体調はどうだい?数日間、熱にうなされていたんだよ」


突如現れた女性もユメコが知る現代とは違う服装や髪型をしていた。
部屋の雰囲気や、現代とは思えないような女性の姿に対して驚きを隠せない。
女性が言うには、ここはその女性が旦那と営む食堂と隣接した夫婦の自宅だと言う。私は雪山で倒れていたところを猟師が発見し、この街へと連れてきたのだと。
珍しい見慣れぬ服装だったことから、どこぞの令嬢ではないかとも考えたそうだが、とにかく私が高熱を出していたことから、まずは看病をしなくて、ということで養生させて貰っていたらしい。


寝起きのユメコにとっては、情報量が多すぎて、右から左へ受け流すことしか出来ないほど、兎に角意味がわからないことばかりである。


まず、ユメコは雪山になんて行くはずがないのだ。
九州出身で、九州には雪なんて滅多に降らないし、降ったとしても雪山になるほど積もることさえない…なので、雪山で遭難していた。というのは本当に意味がわからなかった。
現に、布団の横に畳まれている自分が身につけていた服装も、雪山へ迎えるような装備のものでは無い、普通の一般的な服装である。



『……見ず知らずの私を助けて下さり、看病までしてくださって。本当にありがとうございます』


頭の働かない私に、女将さんは気遣いながらも、ユメコに名前を聞いたり、なにか事情があって雪山へ登ったのか。どうして倒れていたのか。など、いくつか質問をしてきた。──が、ユメコはまず聞いた。


『すみません。……ここは一体どこですか?』

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