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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第3章 杉元、第七師団との出会い



「あぁ、あそこの食堂ですか。我が隊の中にもそこの食堂に頻繁に通っているものが居ますぞ。…それに確か、街の噂では男装の麗人が居るとか…。もしや貴女がそうなのですか?」

馬に乗る鶴見中尉は、面白そうなことを見つけたようにニヤリと笑いながら話しかけてくる。
厨房で働くユメコには『男装の麗人』だなんて噂が流れていることを知る由もない。しかし、あの、食堂で働く女性の中にズボンをみにつけているのは自分だけだったし、明治の女性達よりも身長が高く、胸にサラシを巻き、化粧もせずにいることから、よく男にも間違えられる。
給仕の子達にも『ユメコが男だったら絶対惚れてたし、結婚したい!』等と言われていることを思い出したが
実際には本当に自分のことなのかよく分からないので、曖昧に


『…分かりません。私は確かに男のような格好をしているかもしれませんが、麗人と呼ばれるような見た目はしていませんから。』

とだけ答えておいた。


街に戻ると、どっぷりと日が暮れてしまっていたので、あたりは暗かった。第七師団の鶴見中尉には、一旦帰宅し、後日詳しい話を伺いたいので兵舎に来るようにと告げられた。



その日は、夜遅い時間帯に帰ってきたユメコの姿を見ると女将が大層驚いていたが、帰宅した事情を話すと、「ユメコが無事に帰ってきてくれて、良かったよ」と抱擁された。





「夢乃ユメコさんに用がある」

仕事が終わると、兵士のひとりがユメコを迎えに食堂まで迎えに来たので仕事が終わると、その男について行った。
ユメコよりも背の低い男は、あの山中でも鶴見中尉の脇にいた記憶がある。
背の低い男の名前は「月島基」というらしい。
坊主頭で鼻は低めで、かなり真面目そうな顔立ちをしている。
何故か苦労人のようにも感じる顔立ちだ。

ちなみに月島さんは、「軍曹」という階級だそうだ。
軍曹、中尉、上等兵と聞いても、現代では馴染みのない「軍」のことだ、ユメコには、ちんぷんかんぷんである。

真面目な月島軍曹は元々無口な性格なのか、あまり喋らないようだが、こちらを気遣うように話題を振ってくれ、世間話をしつつ、兵舎に向かった。

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