【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第3章 杉元、第七師団との出会い
「発見が遅ければ、低体温症で死んでいたでしょう。この怪我でよく生きてました」
「何者かに山で襲われたのか?どうして尾形上等兵は単独行動していたのだ?」
「分かりません。意識の回復を待つしか…」
軍服をみると「27」と書いてあるが、それぞれ帽子や制服の色、形がちがうようにみえる。
ユメコには、そういう知識が一切ないし、見たこともなかった。
軍人達が怪我人を見ながら話し合っている姿をみつつ、『(あー、こんなことなら給仕の子達の話をきちんと聞いておけばよかった)』と、今まで軍人さんについて熱く語っていた給仕の子達の姿を思い浮かべていた。
『(多分真ん中の乗馬してる人が偉い人、なのかな?)』
軍人の中でも1人、馬に乗る男の顔はケロイド状というのだろうか、目元部分は火傷のように赤く爛れているようだ。
白い額当てをし、口髭を生やしている。
この暗がりの中、松明に照らされている顔を見る限り、きっとあの怪我がなければ整った顔をしていたに違いないと思えるほど、上に立つものとしてのカリスマ的な雰囲気を醸し出していた。
「尾形上等兵を助けて下さり感謝する。我々は大日本帝国陸軍、第七師団の者だ。私は鶴見という。階級は中尉だ。」
馬に乗っていた人が馬から降り立つと、声をかけ近づいてきた。
『いえ、自分にできることをした迄です。応急処置も簡単にしか出来ていません。一刻も早く彼を病院へ連れて行ってください。』
と重体の彼に目を向け、鶴見中尉という男と向き合った。
鶴見中尉が名乗ったので、自分も名乗らなければ、と慌てて自己紹介もする。
「夢乃ユメコさん…。ふむ。夢乃さんは一体何故ここに?我が第七師団をご存知ないですか?」
よく分からないが、第七師団というのは有名らしい。
鶴見中尉はもう一度馬に跨る。詳しい話を聞きたいと街への同行を促された。
道中、鶴見中尉から何気ない質問をされるのだが、周りの隊員たちからは、あまりにもジロジロと見られるし、警戒心のようなものをバシバシと感じてきたので、鶴見中尉からの質問に答えつつ、思わず自分の身のうちを話す。
記憶の一部が無く、普段は街の食堂で働いていること。
ココには友人に会うために歩いていてことを話した。