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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第3章 杉元、第七師団との出会い


───トントントン

ユメコはこの日も、早朝からしっかりと食堂の仕込みを行っていた。
食材を切る音、ジュウジュウと炊飯中の鍋から蒸気が漏れる音も聞こえだし、少しづつ辺りにも美味しそうな匂いも漂い始める。
野菜などの下準備は大変ではあるが、無心でやれるし楽しいことだと思う。

給仕係の娘達は街に帰った日の夕方にあったのだが、どの子も元気が無い。
どうしたのか思っていたら。どうやら「褐色の君」と呼んでいた人が仕事の関係でここの地域には居なくなっていたのを噂で聞いたそうで、悲しそうにしていた。
月に数回あるユメコの出す手料理の日に稀にくる客のことだ。 そこまで給仕の子達に好かれるほどのイケメンって、どれだけイケメンだったのだろうか。現代であればアイドルみたいなもんかな?と考えながらも、厨房で働くユメコは名前も顔も知らないため『…それは残念だったね』としかいえなかった。
女将や旦那さんにはお休みを頂いたお礼と、狩りで取った…と言っても、銃はあまり扱えないので、アシㇼパに教えてもらった罠や、アイヌの人達に貰った獲物を渡しながら『探し物は見つからなかったです』と伝えたのだった。

今日も稼ぎ時には忙しなく働き、ホッと一息ついたところにユメコを呼ぶ給仕係の声が聞こえたので、何事かと思ってら、どうやら自分に客が来たらしい。知り合いはあまりいないはずだけど、と思いながらも裏口から出ると、アシㇼパがいた。

『アシㇼパ!?』

「遊びに来てやった…ぐぇ!」

エッヘンと、胸を張るように話しかけてくるアシㇼパが可愛くて、思わずアシㇼパが話してる途中で抱きしめる。

『あ、ごめん。』

突然の抱擁で、腕の中で苦しそうに藻掻くアシㇼパを名残惜しそうに手放すと、彼女は懐から変な模様の入った紙を出してきた。

「仕事中にすまない、ユメコ。こんな模様の刺青が入った人間がいるという噂は聞いたことがあるか?」

アシㇼパが差し出す紙を見ると、よく分からない模様が描かれていた。しかし、こんなヘンテコな模様の刺青をカッコイイ!と思って入れる人間がいるのだろうか?

『私の仕事は、大体終わったところだよ。…ごめん。刺青については聞いたことも見た事もないや。』

どうやら、アシㇼパは人を探しているらしく、その手がかりがこの刺青だけらしい。


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