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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第5章 「元整備士」×「ポルシェ356A」


しかし二人はただ目を合わせて黙り込むだけで何も答えることはない。

「ねぇ、どうなの? 見ず知らずの私を助けて護衛して、こんなに丁重に扱っておいてなにも意味がないわけないでしょ? ………………知ってるんでしょ? ならなぜ他国の警察、しかもFBIが知ってるの? 助けた目的は何? あなた達もあの設計図と説明書が目的なんでしょ?」
「それは誤解よ! …………私達は、ただあなたを守りに来た。それだけよ」

穏やかな声で女は言った。

だったら尚更意味が分からない。なぜ設計図ではなく私を守る必要がある? それに私は誰にだって設計図も説明書のことも話したことは一度だってない。

「なら、せめて上司に連絡させてください。安否の報告くらい、あなただって私と同じ立場ならーー」
「その件はもう大丈夫だ。降谷くんには俺から連絡しておいた」

そう答えながらドアから入ってきたのは、トレーを持ったあの時の


「久しぶりだな」
「……FBI、だったんですね。金子秀也さん」

声やガタイはあの時と同じ、金髪は黒髪に、キャスケット帽はニット帽へ変わっている。

「金子秀也は偽名だ。俺の名前は赤井秀一、彼らと同じくFBI捜査官だ。どうやら……変装には鈍いみたいだったな」

赤井秀一と名乗ったその男は、面白おかしく笑う。

「他人の顔なんて、そんなに興味ないです。押さえているのは特徴くらいですし……それより、降谷くんとお知り合いで?」
「まあそんなところだ。だから彼らのことは心配しなくていい。……ともかく、あと一週間後にはここの病院を退院して別の場所へ移ってもらう。あれほどの怪我をしておけば、奴らが病院を嗅ぎまわるだろう」

そう言いながらベッド前の机に置かれたのはパックの牛乳と溶き卵の入ったおかゆにすりおろしたであろう林檎。

見るからに病院食ではなくもはや離乳食だ。
まあ、散々お酒を飲んで日に日に増えていく体重を見届けるよりかはマシではある。

「あなたの気持ちも痛いほど分かるわ。でも今は自分の体を1番に考えて。話はそれからよ。」

私は静かに俯くとトレーに置かれていたスプーンを手に取った。
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