【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「ここで確かに通信が途絶えたんです」
その翌日、降谷と風見は昨日の事件が起こった廃倉庫へと足を運んでいた。
〝何者かに後を付けられています。今日はひとまず一旦タクシーで米花町まで行くので、米花駅で待っていて下さい。撒いて行きます。〟
宮下からその連絡を最後に、彼女の連絡もGPSも途絶え電話もつながらない状態となっていた。
後に異変に気付いた風見が降谷へ連絡を入れたのは早朝の5時、そして今に至る。
「確かに、ここで何かあったのは間違いないな」
その思ったよりも落ち着いた声でそう言いながら壁に空いた穴を撫でる降谷に風見は視線を向けた。
辺りは銃撃戦になったであろう弾痕の穴がいくつも開いている。何らかの事件に巻き込まれたことに違いはない。
少し見て回ると出入口からは死角となっていたドラム缶のすぐそばのコンクリートにはこびりついた赤黒いなにか、………おそらく血であろう付近に黒い塊が落ちていた。
「間違いありません、私達が使ってるM360J SAKURAです」
それは銃口が銃弾でへこんで狙撃できなくなった、主に日本警察が使用している拳銃『M360J SAKURA』だった。リボルバー式で玉は全部で五発、しかし銃弾はすべてなくなっていた。
「怪我を、してるのでしょうか…………もし、攫われたりなんてしていたら」
酷くくらい声色で風見がそう口にした。警察官故責任感の人一倍大きい仕事はたった些細な失敗でも大きな失態となる。それが事の大きい事件なら尚更だ。
「まだ決めつけるのは早い。それにこの弾痕は僕達の使っている拳銃のモノではない。それも一つや二つじゃない。複数の種類の銃がいろんな角度から撃たれている。それに…………………外に向かって血が続いている」
数滴の血が続いている先へ降谷が視線を移した場所は宮下が逃走を図った裏口だった。
そこから少しした先の草むら、草が雨をしのいだほんの一部分に微かに赤い色の付いた場所を降谷は察知すると草むらをかき分ける。そこには弾痕によって酷くひび割れたスマートフォン、宮下の所持品があった。