【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「…ち…ちが………」
「〝はい〟か〝いいえ〟だ。答えろ」
悪魔のささやきのような低い声がまるで脳に直接語り掛けるような感覚に私は答えを出した。
「…い……いいえ…、」
「別のところか」
「…………いい、え……」
その答えにの笑みが消えた。
「…端的に答えろ、どこにある。もしくはもう存在していないか、」
「……ある、あり、ます………だ、いじな…ものだから………、だって………、まさか、人をころす為だけに作られた………」
「どこにある‼」
男の怒鳴り声が橋の下で反響する。
「……ッ、」
憎たらしい、この殺人鬼の目も、そこに映った血だらけの私も――。
無意識に男の頬のそばに自分の手があるのが分かった。ダメだ。絶対に、たとえ死んでも、私は言うわけにはいかない。
グッと、その手の平に力を力んだ。
ぺちんっ――。
小さな音が響いた。
その音と同時に男の顔がやられるがまま横を向く。そして私の腕は力なく落ちる。
男が再び私に視線を向けた瞬間、その目は何の感情も抱いてはいなかった。
「タイムリミットだ」
一発の銃声が、体の中で響いた。
「……ッ‼」
余りの痛さに、座っていられる余裕もなった。痛みでうずくまり、顔を顰め、ただ指先に広がる温かさを受け入れるしかなかった。
息を吐きながら、薄く目を開けるともうそこにあの男は居なかった。代わりにまた、橋の上で銃声がした。
車の走る音が聞こえる。
まさか、殺さなかった? あの男が?
「おい、大丈夫か!」
少し離れから、あの金髪の男の声がした。
砂利の音が近くなった頃、ゆっくりと目を開ける。しかし 目の前にいたのはあの金髪の男ではなかった。
ニット帽を被った黒髪の男がそこにはいた。いつの間にか血だらけになった私の腕を掴み腹部を険しい目で見てる。
「………だ…れ」
微かな声を出したとき、男は私に視線を向けた。
「俺達はFBIだ。安心しろ、君を傷つけるようなことはしない」
「…な、ん…………」
「もう喋らなくていい、止血をするぞ。少し痛むが我慢しろ」
なんでFBIがこの国に――。
そんなこと聞く暇も余裕もなく、再び激しい腹部の痛みに私は呻き声を上げ、その腕を掴んで爪を立てた。