【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
防護服なんてせこすぎる一一一。
そう思っていたのもつかの間、自然と、なぜか走っていた足が止まった。
そのまま倒れ込み、傾斜だったせいでそのまま土手を転がり落ちる。
いたい、痛い。
こんなにも寒いのに、熱い。
ゆっくりと上半身を起こし、無意味にも人目に付かない近くの橋の下へと移動した。
壁に背を預け、左肩の二の腕をまるで痛みを逃すかのように力強く掴んでは顔を顰めた。明らかに感じる体の異常、ジンジンと脈打つほどの熱を持った肩へと目線を向ければそこは真っ赤に染まっていた。
もう何もかもが追い付けていない。どこまで深くやられたかも、そんなこと把握するほどの冷静さはもう今の私にはなかった。
かじかんだ手足に血だらけの左肩に腕、短く息を吐く口元から目の前に広がる白い息と耳障りな川の音と雨が地面を叩く音と………………………………砂利を踏む革靴の音。
俯く視界に現れた黒の革靴、すると片方の足を私の太ももへ置くと地べたに転がった砂利が食い込むほどに体重をかける。まるで尻尾でも踏みつけもう逃がすまいと言うかのように。
そしてしばらくして男はその場にゆっくりと屈むと私の口元をその手で顔ごと鷲掴んだ。
口の中に抵抗の言葉がごもると先ほどよりも強く壁へと押さえつけられ、目の前に出された注射器が抵抗のすえなく血だらけの二の腕へと針が刺された。
口元が解放したのは、液体…おそらく自白剤がすべて投与し終わった後だった。
「私に生き地獄を味わえと?」
ニヒルな笑みを浮かべると、代わりに男の銃口が腹部へと力強く押し付けられ思わず顔を歪ませた。
「恨むんなら、この哀れな運命を生み出した親を怨むんだな」
男はそう吐き捨てた。
「あの設計図は、家か?」
その質問に、深緑の瞳に映る自分を見つめながらはくはくと微かに開く口。朦朧とする意識、己の理性と自白剤の戦いが行きかう中、私は絶えなく口を開いた。