【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
………ああ、この人は確実に殺る。他人の生死なんて、どうでもいい。今まで何の感情も持たず、尊い命を、その引き金ひとつで奪ってきた、本物の殺人鬼だ。
すると男の胸ポケットから出てきたのは、見覚えのある一本の注射器。
反射的だった。
ごめん降谷くん―――。
吐くくらいだったら、死んでも構わないと。そう思ってしまった。
私は男の指示を無視しすぐ後ろへと駆けだし裏道を抜けた。
「キャンティ‼」
低い声が響いた。
行先は、橋ではない。
橋とは反対の左の方向へ飛び出した私はすぐ近くで待機していた女へ組み付いた。
近づいて来る足音で狙撃手が近くにいると分かった、スナイパーライフルなら至近距離での争いは圧倒的に振り。
予想とは裏腹に己に向かって仕掛けて来た狙撃手の女は驚いた様子で舌打ちをし構えるが、時すでに遅い。女の持っていたスナイパーライフルを蹴り飛ばすと腕を取り女は抵抗する暇もなく呆気なく濡れたコンクリートへ背を付けた。
その隙にスナイパーライフルを手に取り裏道の出入り口へと構えるとそこから出て来た男の腹部に一発打ち込んだ。初めて打ったスナイパーライフル、拳銃とは重さが違い反動で一瞬よろめいたがすぐに立て直し、近くにあった倉庫の屋根へスナイパーライフルを放り投げて背を押さえ蹲る狙撃手の女と腹部を押さえ跪く男の横を突っ走った。
道端に転がった、持ち出したベルモットとかいう女のサイレンサー付きの銃を拾い上げて橋を渡る。
拾い上げた拳銃に目をやるとスナイパーライフルで銃口がへこんでいる。もう拳銃の意味を持たない黒い塊に私は舌打ちをし、橋を渡り終えた後、土手の横を通る際に川へと放り投げた。
すると背後で、銃声がした。それに反射的に私も振り返る。
……気味が悪く、血の気が引いたのが分かった。
橋の上で、腹部を撃ったはずの男が笑みを浮かべながらで私に銃口を向けていた。