【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
日本での拳銃規制は他のどの国よりも厳しいはずなのに、一体この国はどうなっている。
それにルカちゃんとあの男、グルだった?……それに彼らは一体何者?
待って、もし彼らが私の秘密を知っていたら?
逃げないと――
その判断に至るのに長い時間はかからなかった。
銃撃戦が広がる中、私が咄嗟に握ったのは逃げ込んだドラム缶の物影にあったベルモットのサイレンサー付きの拳銃。
舐めてもらっては困る。
だって私は、私はただの警察でも刑事でもない。
あの警視庁公安部〝ゼロ〟の直々の推薦を受けた駒。簡単に朽ちてしまっては彼の名が汚れる。
「伏せて!!」
すると突然ルカちゃんの声と大きな銃声が廃倉庫に響いく。
それを合図に息を止め、それを自身の腕に擦れる程度の位置に合わせてトリガーを引いた。
「……ッ‼」
衝撃が走る。しかしそのおかげで意識がはっきり浮上してくるのが分かる。今この場で一番不利なのは私だ。私は迷わず逃げる道を選んだ。
先ほどの銃を口にくわえ、再び始まる銃撃戦の合図とともに私は物影から裸足で飛び出した。
「コルン‼」
ベルモットの叫ぶ声が聞こえる。
先ほどよりも近くでガチンッとスナイパーライフルが当たる音が聞こえた。
自分に当たったかも。でも痛みはない。それに今、そんなことを気にしている余裕なんてそうそうなかった。
廃倉庫の裏口から飛び出して走った。
まだ雨は降っており、バックもすべて置いてきてしまったが、誰かからつけられていると感じた時から念のため位置情報を共有する為ケータイだけは下着に忍ばせて肌身離さず持っていた。
風見さんへ応援の要請をするべく脇に手を入れて下着からスマートフォンを取り出すと、違和感に気が付いた。一か所に集中しているようにヒビの入ったスマートフォン。おそらくあの時の銃弾。
もしあの時、私が下着に忍ばせていなかったら……。
考えるだけでぞっとした。しかし位置情報も、連絡すべて途絶えてしまったが自分の命と引き換えと思えば安いものだ。これほど派手に壊れていればデータも破損し、雨水でもう手遅れだ。
また降谷くんに怒られちゃうな。そんなことを思い名がら私はスマートフォンを草むらへと頬り投げて歌舞伎町へと道を戻り、交番を目指した。