【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
〝「お父さん、これ……」〟
〝「見なくていい、これは見ては行けない」〟
〝 「危ない?」〟
〝「……そうだね。でももし、その時が来たら……」〟
そう、それは誰にも言ってはいけない秘密。誰も知らないはずの秘密。なのになんでこの女が…。
まるで身体が勝手に、脳が勝手に動きだす感覚に私の身体はゆっくりと従い始める。
「ちーー。」
そう私が口を開きかけた途端、またその場に銃声が響いた。
女の持っていた拳銃が宙を舞っていたのが微かな街灯の明かりで分かった。
……誰?
少しだけ目線を上げると、あの女と私以外にもう一人人の影がある。
「そこまでよ…‼ 両手を上げて跪きなさい‼」
この声ーー。
「ルカちゃん………?」
女に拳銃を構えて立っていたのはあの怪我で休んでいたというルカちゃんだった。その手に持っているのは拳銃だ。
どういうこと、一体どういう状況なの。
「ベルモット、あなたなんのつもり」
「そのままよ、ずっと消息をたっていた宮下修造の娘を見つけたから作戦を変更したまで」
ベルモットと呼ばれた女は立ち上がりルカちゃんに銃口を向けた。一足即発の状態が続く。
すると廃倉庫の天窓からキラリと反射光が映った。黒光りした細い何か。この状態で考えられることは一つしかない。このベルモットとか言う女、ひとりじゃない。
「ルカちゃん後ろ‼」
それは咄嗟に声を上げたのと同時だった。ひと回り大きな銃声が廃倉庫にこだました。
音を聞くに、やはり狙撃銃。やられた。やってしまった。自分の負債なさのせいで犠牲者が。
しかし、振り返ったルカちゃんは呆然と立ち尽くしたまま。血も落ちてない。一体何が起こったのか、ここにいた全員の思考が止まった。
そしてコンクリートに転がった破損した二発の銃弾によって全員がその意味を理解した。
「うまく上手く巻いたと思ったんだけど、失敗だったみたいね」
出入口に立っていたのは金髪のキャスケット帽をかぶったあの男。
〝「周りの人間に気を付けろ、公安の犬。ただ、周りを見すぎるというのも、一つの穴だぞ」〟
あの男………。
「キャンティ! コルン!」
ベルモットがそう叫ぶと再び銃声が響く。その間に物影へ隠れ体制を整える。
目の前で突然起きたこの状況に困惑しながら、頭を抑え込む。