【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「凄い変装術………全くわからなかった」
「得意分野なのよ」
女は私に向けていた銃を1度自分の手元に引き寄せるとどこから取り出したサイレンサーを銃にはめ込み再び銃口を私に突き出しセーフティーを外した。
「最初はあなたを追うつもりはなかったの。あの店にいたのも別の件。でもたまたまあなたがひょっこり顔を出すものだからびっくりしたわ。………あの方に話したら、案の定すぐに目的は変更したわ。ルルと言う架空の人物も、あの騒動も全て私の自作自演。全てはあなたの目を欺く為のね。ただ、少し計画外のことが起こるものだから、予定を早めて決行したってわけよ」
女はそう淡々と口を並べた。
お互いの周りにポタポタと雨水が水たまりを作っていく。
「なら、そこまでして私を捕らえたのは何が目的なんですかね」
「あら、それはあなたが1番分かってるくせに」
その言葉に私は目を細めた。
「あなたなら良く知ってるはずよ」
「さあ、………なんのことだか」
私はズリ下がった肩紐を上げ、邪魔くさい胸下の解けたリボンも頬り投げる。
「周りが知ったら驚くでしょうねぇ……………まさか、あなたの父親が――」
途端、私はドレスの空いた胸下から素早く取りだした拳銃の銃口を女に突きつけてトリガーを引いた。瞬時に狙いを定めた銃弾は女の頬ギリギリを通過して擦り傷を付ける。
「あなたの話を聞いて分かった。あなたは私を殺す気はない。見せかけだけの脅しは私には…………通用しないよ?」
「いやらしい、あなたも変わらないじゃない」
「まさか。私が隠していたのは胸の下。コルセットで胸を上げてカサマシした中に入れてただけ。…………正直バレるかと思ってヒヤヒヤしたけど、きっとアレも調べていたんでしょう? まぁコルセットのおかげでバレなかったみたいですけど」
「この国では銃を持つことは禁じられているはずよ、それともお得意のお手製かしら?」
「本物よ。それに、銃を持っていても罪にならない役職があるでしょう?」
その言葉に女はフッと笑みを浮かべた。
「それは私の失態だったわね、でも、もう。…………手遅れよ。さぁ、答えてもらおうかしら」
私はその言葉に眉を顰めた。
……………手遅れ?
しかしその言葉の意味を私はすぐに実感することになる。