【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
外へと出れば、いつの間にか雨が降っていた。雨のせいもあってか辺りは冷たく霧がかかっている。生憎傘は持っていないので自身のジャケットで雨避けをしながらしていつもの指定の場所へと歩き出す。
夜道はは街の灯りと、街灯ががかすかに照らしている。
雨が落ちる音に紛れて、私のヒールの音に紛れて、バシャンと別のなにかの音が聞こえた気がした。
歩みは止めずに、少しだけ早く歩いてみる。
雑音に紛れながら静かにバチャッと水溜りを踏む音が響く。
……誰かに付けられている。
私はすぐにメールで風見さんへ場所の変更を指示しをする。
〝何者かに後を付けられています。今日はひとまず一旦タクシーで米花町まで行くので、米花駅で待っていて下さい。巻いて行きます。〟
そのまま送信したことを確認しスマートフォンの電源を切るとハンドバックへ押し込んで、まっすぐ先の道歩く。
一直線へと突き抜けて角を曲がると、十字路の交差点にこんな時間にもかかわらず反対車線に一台の車が止まっている。
霧と暗さであまりよく見えないが、タイヤのホイールキャップからして警視庁の車ではないことはすぐに分かった。それに一般的には珍しタイプのデザイン。
私は横目でその車を追いながら歩いていると今度は後ろからカツカツと凄まじい音でこちらに迫って来るのが聞こえた。
「アリスチャン‼」
振り返れば傘もカバンも持たずに雨の中駆けて来たルルちゃんがいた。
そのままスピードをゆるめることなく迫ってくるとそのまま流れるように私の腕を掴んで引っ張った。
「走って‼」
まるでなにかから逃げるように手を引かれて深夜の歌舞伎町を走り出す。
「どうしたの⁉ 店で何かあったの?」
「さっき、控室の外から見えたの! アリスチャンの後を追ってる人! だから私追ってきて」
「それ、容姿は? さっきの、出禁の人じゃない?」
「違う、違う人だった…! 」
走りながら短く会話をする。
不確かな情報が行き来する中、ひとまず私達はその場から離れる為に雨の中一緒に夜の歌舞伎町を走り抜けた。