【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「……あなたは、何者なの?」
エントランスまで響いて来るBGMと盛り上がる声を背に私は歩みを止めると、そのまま止まった私に気に留めることもなくエレベーターのボタンを押した秀也さんに問いかけた。
男がゆっくりと振り返る。
エントランスの廊下の照明で先ほどのように目元は見えず影かかかっていた。代わりに彼の口だけがはっきりと動いた。
「周りの人間に気を付けろ、公安の犬。ただ、周りを見すぎるというのも、一つの穴だぞ」
「…ッ!? 待って‼ 何でそれを…‼」
血の気が引いていく。
なんで、なんでわたしが公安だとバレてる。
到着したエレベーターに秀也さんは乗り込むと締まっていくエレベーターのドアへ駆けるが間に合わずに扉は閉じてしまい下の階へと下っていく。
ヒールをその場に脱ぎ捨てて非常階段から階段を降り、ビルから出で周りを見渡すが、いつものようにネオン色の街並みが並んでいるだけですでにその人はいなかった。
そこはすでに夜の街と化しており、私の気も知らぬまま夜は彼を飲み込んだのだ。
そして閉店後、週末のホールミーティングがあるにも関わらず私達は、控室で戯れていた。
「アリスちゃ~ん……」
…というよりもいつものルルちゃんのウザ絡みで抜け出せなくなって見放されただけである。
ルルちゃんが項垂れてパイプ椅子に座っている私に抱き着いて離れようとしないので私は諦めてされれうがままにされている。
あの秀也さんが帰った後、控室に戻ると待機していたはずのルルちゃんがいなくなっておりスタッフルームに顔を出せば、すでに店長に秀也さんの話を泣きながらするルルちゃんの姿があった。
そしてこの密告によって今後金子秀也と言う男は店から出禁となった。それでもどこか消えることのない違和感に胸騒ぎを覚えながらもいつもみたくルルちゃんを慰める。
「大丈夫、あの人はもう来ないから」
そう言えば私の首元に顔を埋めてごにょごにょ話しているが何を言っているのかさっぱり分からない。
泣き崩れているルルちゃんを慰めながら時間を潰しているとミーティングが終わったのかぞろぞろと皆が帰って来た。