• テキストサイズ

【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第1章 「整備士」×「RX-7」



人柄なのか癖なのか、それとも私の知らない世界ではそんな風習が存在するのかは不明だが、手土産を持ってやってくるお客さんは結構いる。
勝典さんのように毎度持ってやってくる方もいるが断るのも申し訳ないのでこちらもありがたく頂戴してはいるが、おかげで家は貰い物のお菓子や紙袋でいっぱいでお菓子類はここ数年買っていない。すべて頂き物だ。割と小食な方なので食費もかなり浮いている。

「いつもありがとうございます。でも今日も何もなければ20分くらいで終わるんですから、たまには気軽に手ぶらで来ていただいて構いませんよ」

私は申し訳なさげに眉を下げながらもお礼を言った。

再び作業に戻り腰ポケットから手鏡を持つと取っ手のない薄型の台車に背を預けて車の下へ足を使ってスライドさせては黙々と点検していく。
こうして圧迫感なく車の下へ身を気軽に入れられるのも女の整備士の特権かもしれない。それに、画像と肉眼で見るのでは全く感覚が違うし作業もスムーズに進む。

流石の車好きの方ともあってか扱いも綺麗で、ありがたいことにメンテナンス前には必ず洗車もしてくれている良心的さ。これくらい丁寧な扱いなら月一回のメンテナンスでなくても季節の変わり目に一、二回程のペースでも全く問題はない。と、前に主である勝典さんに伝えたが『いいや、君に月一でメンテナンスをお願いしたい』と筋を通すので、今では月契約を結んで料金も口座から自動引き落としになっている。

最後にボンネットを開けオイル点検をしていると無数の毛が部品に複数ついているのが見えた。なにかと手に取ってみるとおそらく動物の毛。消去法と可能性からして猫、それも毛の薄さと細さからして子猫の毛だ。
自宅ではいつも車庫へ入れていると勝典さんが以前言ってた。もしかしたらとこか外出する際に停車していた先で野良がボンネットに忍び込んでしまったのかもしれない。おそらく動き出す時にはすでにボンネットから逃げ出したと思うけど、事故に繋がるかもしれないので念のため後で伝えておこう。それにこれから寒くなる季節はもっと頻繁に起こってくる。

もうそんな季節かぁ…、なんてひとりでにそんなことを考えながら残りの毛を取り払い綺麗にしているとガレージから居間を繋いでいる出入口のドアが開き執事さんが飛び出してきた。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp