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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第1章 「整備士」×「RX-7」


車を誘導するべくガレージの中へと先回りし車の後へ回り合図を出せばリムジンがバックで下がってくる。
定位置になったところでストップの合図をすれば執事さんが運転席を離れる準備をしている間にいつも通りボンネットを開け小型の懐中電灯で照らしながら軽く中を確認していると、再びポケットに入れていたガラケーから着信音が鳴った。
口に懐中電灯を咥え不備がないか目を通しながら開いている片手でポケットをまさぐりガラケーを手に取ると、先ほどと同様に手馴れた手つきで画面を開きそのまま耳と肩の間に挟むと咥えていた懐中電灯を口から片手に持ち替えた。

「はい、宮下です」
「降谷です。い――」

私はその言葉の続きを聞くこともなく懐中電灯の持っていない方の手でガラケーを手に取りピッと通話を切り画面を閉じると何事もなかったかのように定位置のポケットに突っ込み再び点検を再開した。

丁度運転席から顔を出していた執事さんの見開いた目が合う。ある意味修羅場を目撃されてしまった。通話を切った数秒、もう一度かかってくるコール音。時差的におそらく同一人物だろう。今度は手に取ることなくコール音をBGMにしながらいつもの作業をこなしてゆく。

「あ、え、いいんですか?」

 父の代からうちを使ってくれている顔見知りの執事さんだ。ここを使うお客様はだいたい相手も想像がついているに違いない。それを踏まえてでの確認だろう。

「腐れ縁という奴ですからお気に召さらず。メンテナンス終わったらお部屋の電話でお知らせするので、あんまりいいものではないですけど最近ウォーターサーバー設置したのでお好きに飲んでください」
「え、ええ、分かりました。では失礼して……ああ、そういえばこちら、勝典様から宮下様へとのことです。お部屋に置いておきますね」

そう言って執事さんが目の前に出したのは有名な和菓子店の紙袋。先々月は有名店のドーナツを、その前は高級店のチョコレートを頂いたばかりなのに。
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