【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第4章 「元整備士」×「マスタングGT500」
「やっぱ昨日絶対飲み過ぎた。絶対二日酔い」
「だ、大丈夫ですか? ビニール袋そこにありますよ…」
「大丈夫、ゲロの方じゃないから」
時刻はすでに翌日の昼、出勤時間前の車内。
口元を抑えながらそう呟く私に運転席の風見さんはオロオロと心配そうにそう言った。
昨日、あれから起きることも無く目が覚めたら自宅のベットで私は寝ていた。アラームもセットしておらず慌てて飛び起きてはお風呂に入って準備をした末路だ。
新宿区へ入ったところの新大久保駅付近を通ると私は再度風見さんと確認する。
「報告は降谷くんに、迎えの指定や緊急の連絡は風見さんへ送ればいいんですよね」
「はい、そう聞いています」
「分かった、とりあえず毎日頑張ってて偉いねって言ってもらってもいいですか?」
「え、…え?」
「ほら早く」
「ま、毎日頑張ってて偉いですね…?」
「ありがとう、今日はもうここでいいよ! 私頑張る‼」
「え⁉ あ、ちょっと!」
そう言って信号待ちをしていた風見さんの車から私は飛び出し、新宿方面へと向かった。
その次の日も、その次の日も、そして今日も。特に気になる人物も現れなければ情報も得られなかった。
結果、私は更衣室のロッカー前に頭を押し付け項垂れていた。お先真っ暗だ。でも仕事が終わって帰った後、毎日風見さんが『お疲れ様です』とか差し入れを買ってきてくれるのが唯一の私の動力になっている。だって降谷くんは言ってくれないんだもの。
「アリスチャン? 大丈夫? 最近元気ないね…」
後ろからいつものようにルルちゃんが声をかけて覗き込んでくるがあのルルちゃんが絡みついてこないのが何よりの証拠だ。彼女はああ見えても常識人だ。
「うん、最近ちょっとね…やっぱりお酒飲むし肝臓かな……私元々そんなに飲むタイプじゃなかったから……」
「じゃあ今日は早く帰りなよ。私が店長に言っとくし、アリスチャンの集計も私が確認するから! それに今度二日酔いしないいい点滴のクリニック教えてあげる!」
そう、こういうところがあるからアリスチャンはきっといろんな人から好かれるんだと思う。