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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第1章 「整備士」×「RX-7」



はぁ…と、ダイニングテーブルに突っ伏しながらあからさまなため息を吐きだす。するポケットに入れてあったガラケーに着信が入り震え出す。私はそれを手早く手に取って画面を開いて耳に押し当てた。

「はい、宮下です。あ、もう庭に? いえいえ構いませんよ、すぐに向かいますね」

電話の相手は今日朝十一時から予約していたいつも利用してくれるリピーターの使用人からだった。
早めについてしまったと言う連絡に私は臨機応変に対応し、薄暗い玄関先へ向かうと靴箱の上に置いてある腰道具と皮手袋を片手に持ち、安全靴のブーツに足を手早く通してここらにしては立派な洋館、それに見合わない静かで冷たい空気を背に私は自宅を出た。
小刻みに駆けながら器用に腰道具と皮手袋を身に付けながら家を出てすぐ隣のガレージへ向かう。駆けるたびに腰道具がカチャンカチンとまばらに音を立てた。

ガレージ付近の敷地の庭にはすでに立派な黒のリムジンが止まっていた。駆け寄ってきた私に気づき運転席から出てきたのは、白髪交じりの使用人の執事さん。

「お世話になっております宮下様」
「こちらこそ、メンテナンスですよね。今シャッター開けるので」

七年前、父がリフォームした頑丈な鉄筋コンクリートで覆われた下はガレージ、上はモノ置きと作業室の一般的には珍しい二階建てのガレージ。腰道具のポケットから小さなリモコンを取り出し“open”のボタンを押すとねずみ色のシャッターが静かに上がっていく。

「そういえば、珍しいですね。勝典さんがいらっしゃらないなんて」
「ええ、今日は一日鈴木様主催のパーティーに出席予定ですので、朝からそのご準備で」

それを聞いて「なるほど」と、笑いが漏れる。毎回メンテナンスの日には使用人も連れず自ら運転してやって来る方だから毎日暇なのかと思っていたけど、お金持ちの息子も案外生活は楽ではなさそうだ。
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