【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
「いいじゃないですか、ひとりよりも二人のほうが楽しいでしょ?(二人っきりよりはマシでしょう?)」
それにほかのお客さんだっている。
降谷くんに視線を送れば、少し戸惑いを見せながらも彼は小さく諦めのため息をつき「二人とも、お好きな席に。あなたは先に手当なので梓さんが来るまでカウンターで待っていてください」と言ってキッチンへと戻って行った。
カウンターに座ろうとすると沖矢さんが椅子を引いてくれて普段慣れない扱いに戸惑いながらも私は椅子に腰を下ろした。
「怪我してるんですか?」
声をする方へ振り返るとカチューシャを付けた女の子が眉を下げてこちらを見つめている。
「さっき、犯人を捕まえた時にヘマしちゃってね、でも擦りむいただけだし」
「それって、さっきのサイレンの? 私の学校でも大騒ぎになってました」
「じゃあ、お姉さんって警察の人なの?」
「うん、そうだよ。私服だけどこう見えても警察官なの」
梓さんを待っている間、茶髪の女子高生とそんな話をしていると梓さんが救急箱を持ってやってきて、わざわざ手当までしてくれた。
手当されている間も沖矢さんは隣に立って待っていてくれているし、それにいっつもケガしたら自分で適当にやってたから、誰かに手当してもらうなんて何年ぶりなんだろう。
学校を卒業した頃から用がある時以外家の敷地から出たことなかったから、こうして家の敷地からでて警察官として人と関わることすらも新鮮に感じてくる。人恋しくなっていたのかな…なんて思い馳せていたらあっという間に手当が終わる。
「わざわざすみません。沖矢さんも」
「いいえ、付いてきたのは私の方なのでお構いないなく」
「宮下さん、沖矢さん、よかったら一緒にどうですか?」
「僕もその方がいいと思う。きっと二人よりもみんなで一緒にいた方が楽しいよ!」
黒髪の女子高生がそう声をかけると同じ席に座っていた男の子が目をキラキラとさせて誘ってくる。
沖矢さんも大丈夫というので、私達はお言葉に甘えて相席することになった。こうすれば尚更降谷くんも安心して少しは見逃してくれるだろう。
テーブル席のサイドに座っていた女子高生達が奥へと移動し始め、空いた席に沖矢さんと並んでソファーに座った。