【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
×××
そして少し歩いて着いた先は米花町、喫茶店「ポアロ」。店内は常連客で賑わっていた。
「あ、安室さん!」
「蘭さん、いらっしゃい。いつからここに?」
「学校帰りなのでついさっきです、ついでにコナンくんも」
「こんにちは! 安室さん、後ろのお姉さんは?」
安室さんの背からひょっこり顔を出せばそこには、制服を着た女子高生が二人と小学生の男の子がひとり。
「安室くんの友人の宮下です。久しぶりに会って、ここで働いてるって聞いてね」
「へぇ、じゃあ宮下さんの連れが沖矢さんってこと?」
その男の子の発言に私の前にいた降谷くんがバッと振り返った。それに続いて私もゆっくりと視線を後ろへと向ける。男の子の言う通り、私の背後にはいつの間にか沖矢さんが引っ付いていた。しかもさんざん降谷くんから冷たい態度を取られているのによく平然としていられる。
対して降谷くんはあからさまに顔には出ていないもののよく見れば眉間に皺が寄っている。あの彼が。
今の彼の顔は完全に〝安室透〟ではなく〝降谷零〟だ。
小さく指摘するように「顔と腕」と呟けば、横目で降谷くんがこちらを見る。すると徐々に降谷くんの表情が〝安室透〟になっていき、握られていた手首もするりと解放された。