【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
「ご協力、ありがとうございました!」
「いいえ〜」
犯人を乗せたパトカーに最後の警察官が乗り込んだ。警察官に敬礼を返しながらパトカーが見えなくなるまで見送っていると急に手首を掴まれ何者かに引き寄せられた。突然のことで思わず目が見開いた。
私の視線の先、突然腕を引き寄せたのは昴さんだった。
思えば、沖矢さんって何を考えているのか分からない。いつもの笑顔が消えており、私は無意識に少しだけ腕を引くと沖矢さんがゆっくりと口を開く。
「怪我を、されているようです」
そう言われて掴まれた右腕を確認してみれば知らない間に擦り傷が出来ており血も出ていた。
「うちで手当をしましょう」
「でしたらここからだとポアロが近いです。それに、どうですか。米花町を守ってくれたお礼にご馳走しますよ。いいですよね、梓さん」
「すごくいいと思います! ぜひそうしましょう! この後、時間大丈夫ですか?」
「ええ、私は大丈夫ですけど…」
「では早速向かいましょう、案内しますよ」
そう言うと降谷くんは掴まれた沖矢さんの腕を払う様に私の手首を掴んだ。
シフトが迫っていると足早にその場からいなくなってしまった梓さん。さっきも思ってたけど意外と足が速い。気づけばもういなくなっていた。
「宮下さんも行きますよ」
そう呟くと降谷くんは私の手を引きポアロへと向かい始めた。掴まれた手首といつもより近い距離感に違和感を持ち、私は思わず「ちょっと、近い…」と隣で呟き空いていた手で降谷くんの肩を軽く押すと、次は肩に手を置かれさらにグッと身を寄せられ、耳元に顔を近づけられ視界に色素の薄い降谷くんの髪の毛が映り込む。風が少し吹いてきてわずかに毛先が頬を撫でた。
「彼にはあまり近づかないように」
………どうして?
そう問いただしたくても、まるで理由を聞くこと拒んでいるかのような耳元で響く低い声に、思わず私は固唾を飲んだ。