【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
どんな理由かは知らないが、どうやら〝安室透〟という偽名でこの街に潜伏しているらしい。
水性のマジックで書いたせいか少し滲んで最後の一文字が消えてしまっているが私はすぐにそのメッセージの意味を読み取ると私の口を塞ぐように掴まれた彼の腕を掴んで引きはがした。
「ありがとうございます安室くん。お久しぶりですね」
「ええ、あなたも元気そうで」
「お二人共、知り合いなんですか?」
茶髪の女性が間に入って出ると降谷くん…いいや、安室くんは彼女ににっこりと笑顔を向け口を開いた。
「ええ、学生の頃の知り合いです」
「そ、そうです。安室さんと同じクラスだったので」
「へーそうなんですか! 安室くんどうしてもっと早く言ってくれなかったんですか!」
「安室くん、彼女は?」
「彼女は同じバイト先の梓さんです」
「そうなんですか。さっきはありがとうございます」
「いいえ、捕まって良かったです!」
「沖矢さんも、ありがとうございました。助かりました」
「それは良かったです」
「あと三分程で警察が来るみたいです」
沖矢さんは相変わらずニコニコと私に笑みを向けそう言った。ポアロって言ったらよく雑誌に載っているあの毛利探偵事務所の下にある喫茶店だ。そんな一目に着く場所で降谷くんは仕事を? 一体何のために――。
そんなことを思いながら未だ伸びて起き上がらない犯人の足元で先ほど取り上げた拳銃から念のため弾丸を取り出している途中、後ろから服を引かれ思わず振り返る。
そこには私より少し一歩前に出た降谷くんがさっきよりも鋭い目付きに変わっていた。
「二人は知り合いだったんですか?」
そう降谷くんが鋭い目つきで問いかけた先は沖矢さんだった。
「ええ、先程高速道路の路肩で困っていたところを助けて頂いたんです」
「へぇ、そうですか」
普通の会話のはずなのに、なぜかギスギスとした空気が張り詰める。
というか降谷くんって沖矢さんと知り合いだったの? そんなことを思っていれば遠くからパトカーのサイレン音が聞こえ始め、一通りの事情聴取が行われ約一時間後にこの一件は無事に解決し再び米花町には平和が訪れた。