【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
「実は今日が出勤初日なんです。今逃亡した犯人を追跡してて……ここの高速道路を通ると言うことで。お兄さんも気をつけてくださいね」
「初日ですか。お若いのにかなり重要な任務をされて、随分上司から信頼されているようですね」
「警察学校の頃の同期です。と言っても四歳年上ですけどね」
するとまた男性は顎元に手を添え考え込み始めるので、「……あなたも?」と問うが「いいえ、まさか」とにこやかに答えると言葉を続けた。
「初日で任された内容に加えて、見ず知らずの私へ駆け寄り声をかける冷静さもあります。ボンネットを確認している時も私と話している時も横目で常にちらちらと先ほどから通る車を瞬時に確認しているあなたの対応能力を見るに、私の推理が正しければ、もしやあなたはその上司の右腕候補だったり…」
「あー残念、もう彼の右腕は実はいるんですね」
「では、君は一体…?」
「…駒、かな。彼の都合のいいようにしか動かない駒。ただし、チェックメイトする方の駒ね、お兄さん」
「なるほど、それは頼もしいですね。まぁ、密室が好きなのはあくまで物語上で、ですのでご安心ください。…ところで、お名前をお伺いしても?」
「私ですか? 宮下って言います。お兄さんは?」
「私は沖矢昴と言います。よろしければご連絡先をお伺いしてもいいですか? 是非あの時の金庫のお話もお時間がある時にお聞きできればと思って。もちろん用はない時以外はかけたりしませんのでご安心を」
「ええ、もちろんです。あ…っ!」
私の手に無意識に握られたのは解約したガラケー。もう使えないというのに何故か持っていないと落ち着かず結局持ってきてしまったのだ。慌ててガラケーからスマホへとすり替えて電源のボタンを押し吹き出しのアイコンを押した。そう、押した。押す以外分からないことに私は今気が付いた。
いつも連絡は電話だったから、それにアプリなんてガラケーだから使ったこともなく。降谷くんからはいつも使ってるパソコンみたいに扱えばいいと言われるが、そういうのは決まって分かる奴が言うセリフだ。
「……すみません、実はスマートフォンも今日から初めてで全く分からないんです…」
沖矢さんにそのことを話すと嫌な顔一つせず「お互い様です」と言って私のスマートフォンを代わりに操作してくれる。