【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
慌てて男性とその車の傍から離れ両手を突き出すと男性ははなぜか面白おかしそうにクスッと控えめに笑うと穏やかな声でそう言った。
人柄もよく言葉遣いも丁寧で良い人そうで本当に良かったと心から思った。
別に見返りを求めてしたことではないけれど、改めてそう感謝の言葉を言われるとなんだか照れくさくなってしまう。これだからどっちもやめられない。
「どうですか? 今度お礼でも。私もバイク好きなんです」
「いいえ、お構いなく。元々本業だったので」
「…本業?」
「はい、前までは整備士をやっていていまして。というのもお父さんの影響ですが、昔から整備設備を営んでいたんですけど、お父さんの代から設備関係も導入されてそのせいで、その影響で一応私も設備士の免許も取ったんですけど……よく空港なんかには修理で呼び出されますね。あと、一番びっくりしたのは鍵職人でも開かない金庫を開けて欲しいと頼まれたこともありましたね~」
なんてケラケラしていると男性があるニュースをふっかけた。
「もしかして、その鍵のお話……去年の国際美術館の保管金庫ですか? 職員が誤って金庫を閉じてしまった」
「あ、ええ、すごいですね覚えてるなんて。思ったより時間かかりましたけど開けたのは私ですね」
「ホォ……それは興味深い。実は私、シャーロキアンでして」
「へ〜、そうなんですか! でも好きそうですね、密室殺人……とか?」
「ええ、大好物ですよ」
「あはは、そんなこと言われたら私本気にしてお兄さんのこと逮捕しちゃいますよ?」
「…逮捕? もしかすると今は警察官か何かですか?」
やべ、と思わず口を塞ぐがすぐに彼の言ったわざとらしい言葉の罠にはめられていたことに私は気が付いた。
「さすが推理オタク、もしかしてわざと私をハメましたよね? 密室殺人の物語が好きかという質問に大好物なんて単調な単語一つで言われたら、わざと私にやばい奴だと思わせて探りを?」
「おや、バレてしまいましたか。 あなたも、さすがの名推理です」
私の事情も知らずニコニコと楽しそうに話す彼はまさしく根っからのシャーロキアンだと言うことが分かる。