【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第3章 「元整備士」×「スバル360」
「ええ、さっきほど走っていた所すごい音がして、この先も長いので念の為確認していたのですが特に目立った損傷がなくどうしたものかと…」
「それ、どんな音でした?」
そう言って男性の隣へ行き、ヘルメットを地面に置きポケットから小型の懐中電灯を取り出して口にくわえると一緒になってボンネットを覗き込んだ。
「ものすごいスピードで……まるで弾丸が飛ぶ感じのガチンッという硬い音だった気がします」
「ん? あぁ、それなら心配ありませんよ。ただの石のせいです。飛び石ってやつですね。路上は結構あるっぽいですけど、高速道路はごくたまになので。お兄さんの車は特に飛び石で傷ついてもいないようですし、タイヤの回転で挟まっていた小石が吹き飛んで響いて来ただけかと……?」
私はほっと肩を撫でおろすとボンネットを閉め懐中電灯を消しながら男性に視線を向けると彼は何やら私のバイクへ視線を向け興味深そうな顔で「へぇ」と口を開く。
「珍しい色のバイクですね」
そう言われ男性と同じように視線の先を見る。どうやら車の心配よりも私のバイクが気になるみたいだ。
「ああこれ、YZF-R3ですよ。国産のどこにでもある車種ですけど、私もバイクにしては珍しいこのシアンカラーとオレンジの組み合わせに落ちて即決で…。それに乗りやすいですし、バイク初めてな方でも扱いやすいので乗れますよ。ただ排気量が320㏄なので人によっては少し…」
そこで私は今の自分の状況に気づいてハッとなる。
突然他人の車のボンネットを覗き込みペラペラといつものようにお客さんと話すような態度で接し、しまいには余計なことをついペラペラと。これが職業病っていやつなのか。それに私は今、仕事中だと言うのに。
一応高速道路を通っていく車に時々目を向けてはいたが、そっちに気を取られていたせいか相手への配慮が不十分になってしまった。さっきの会話も一方通行だったし、きっと変な人と思われたに違いない。
「すっ、すいません勝手に!! ボンネット勝手に覗いたりペラペラしゃべったり!」
「いいえ、むしろ助かりました。高速道路ですし万が一があったら大事故で他の方も巻き込んでしまうので、貴方が来てくれて助かりました。優しいんですね」
「……そう、ですか。それは良かったです」