【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第2章 「公安警察」×「整備士」
「女って言われて思い浮かべる仕事って、飲食店とかOLとか受付事務とかそんな小綺麗なモノばかりだけど。私の今の仕事はすごい汚れるし、オイル臭いし、手ベトベトだし……でも、私が頑張るくらいで救えるなにかがあるなら私はそれでいいと思ってる。でもたまに、なぜか空港とか呼ばれるし博物館とか美術館呼ばれるし、私一応車専門なんだけどな〜とか思いながらやってるけど。こう見えて意外と私、結構頼られてるんだよ」
「君の成績から見たら絶対に君は警察官になるべきだった」
するとなぜか宮下はこちらに小さく微笑み返し言う。
「降谷くん、教えてあげようか。五年前の話」
その言葉に俺は息を飲んだ。まさか、宮下の口から聞ける日が来るなんて思いもしなかった。その内容は、彼女のその今にでも優しい言葉をふかっければ崩れてしまいそうな薄く幕を帯びた瞳が物語っている。そしてゆっくりと彼女の口が動いた。
「私のお父さんとお母さんはね、殺されたの」
嗚呼、だからなのか。
ただの同期と言うだけで結局は赤の他人でもある宮下の告白にこの時、俺は初めて彼女という人物を認知し理解した気がした。
「事故じゃ、なかったのか?」
「事故として処理された。でもあれは事故じゃなかった。私が警察学校の生徒っていう理由で特別に現場写真や証拠品を見せてもらったの、あれは私だからわかる。あれは、事故よ。殺されたのよ。……まだ、まだ仕組みはイマイチ分からないけど、一つだけ妙な部品の欠片があった。父の愛車である外車のコルベットに使われているはずがない、メイドインジャパンと刻まれた痕跡のある本当に小さな部品の欠片。もちろん必死で伝えた。でも証拠はたったそれだけで他に手がかりなんて何にもない。結局事故死で処理された」
「だったら尚更、真相を掴むためにも警察官になる必要があるだろう」
「普通ならそう思うでしょ? 降谷くんにもわかりやすく言い方を変えると、……あの、宮下修造の車に細工がしてあったとしたら?」