【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第2章 「公安警察」×「整備士」
「はい、宮下です」
その言葉を聞いた途端、今まで切り詰めた苛立ちや焦りがスッと抜けた気がした。
「車の、修理をお願いしたいのですか。ただかなり酷くて…」
「状態はどんな感じですか?」
「他店では部品が破損して何とかと言われて、修理できないと…」
「なるほど、廃盤とかですか?」
「いえ、詳しいことは…外見だけで言うと左側をガードレールで思いっきり、サイドミラーが片方丸ごと取れてしまって、一応取れたサイドミラーはあります。あとボディがかなりボコボコで」
「分かりました。ある程度時間を頂ければ治せるかもしれません。ちなみに車種は?」
「マツダのRX-7です」
「分かりました。後程SMSメールで住所を転送致しますのでくれぐれも第三者には配布しないようにしてください。ご予約を取りますのでお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「降谷です」
そう答えると、少しだけ間が空いた気がした。
「ふるや、様ですか?」
「ええ」
「ありがとうございます。では当日お待ちしておりますね。失礼します」
そして翌日、送られてきた住所へキャリアカーを自身で運転し向かわせるとちょうど立派な洋館が見えた後、その扉から手袋をはめながら一人の女性がやって来る。
宮下だ。あの頃から全く変わっていない。
宮下の誘導に従い車を停車しキャリアカーから降りると目の前に彼女がいた。
「やっぱり、降谷くんだったのね」
昨日の快活な愛想のある声とは裏腹にいつもどうりの愛想のない声色の宮下がそこにはいた。
「久しぶりだな」
「そんなことはどうでもいい。何、この車」
「俺の愛車、マツダのRX-7だ」
「私にはボロクソの白い車にしか見えないけど」
これが全ての始まりだった。