【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第2章 「公安警察」×「整備士」
あの日から、宮下は休んでいた分の単位と成績を取得し以前にも増して、まるで何かストッパーが外れたかのように這い上がってきた。そしてついには学内成績二位だった班長を抜いて来た。入学当初からキープしていた首席も気を抜けば一瞬で奪い取られてしまうほどに。
宮下をそこまで動かしているのは一体何なのか、そんなこときっと彼女の口から聞けることなんて永遠に来ないに違いない。
そしてある時、授業で組手の練習があった。武器を持って迫ってきた犯人にどう対処するか、成績順で組まれた俺のペアはもちろん背後をずっとキープしている宮下だった。日本人特有の小柄な体格に細い手足と首、背負い投げをしたときのあの軽さ、正直ポッキリ折れてしまいそうである意味少し怖かったがあくまで目指しているのは国を守る警察官。もちろん受け身も組み付きも何事なくこなしていった。
受けた感じからして腕力はまあまああるようだが握力はたいしてない気がした。しかし大抵のことは力でどうにかなる男性と違って、宮下はそれを最大限で発揮でき、欠点をカバーできる程の技術があった。
授業の最後に俺達は皆の前で実際に勝敗をかけた実演をさせられた。
ジャンケンで買った俺が警官役で負けた宮下は犯人役でハンデとしてゴムナイフを持っている。俺がゴムナイフに当たったり地面に背を付けば負け、宮下は背を付けば負けのいたって簡単なルール。
そして教官の合図と共に実演は始まった。
ジリジリと迫る切り詰めた空気。周りの皆も静かにその実演を見守っている。
宮下は俺から本気で俺から勝ちを奪いに来る。一ミリも俺から逸らされることない視線がそう語っていた。そして先に先手を打ったのは宮下だった。左手に持っていたゴムナイフを思いっきり顔の目の前に突き出してきた。それもかなり躊躇なく。
人間の生まれ持った反射神経を消す方法は二つ、死への恐怖をなくすか、死ぬほど訓練するほかない。俺はその目の前に突き出された衝撃で一瞬目を細めた、だがそれと同時に顔を横へ避けその伸びた宮下の腕に組み付こうと腕を掴むと、掴んだ宮下の腕が手の内でクルッと半回転しながらかなりの力で掴んでたにもかかわらず振り払われてしまう。