【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
それ以来、私達公安委員会はなんの進展もないまま時間だけが過ぎていった。
クリスマスイブ、クリスマス、大晦日、年末年始、私達公安は交際指名手配犯であるレイス・ヴィリアントの些細な情報でさえもかき集めたが、未だ発見に至るような情報は見つからず、二月の中旬を迎えようとしていた。
その頃、私は地下の書斎でひとり、FBIである赤井さんに依頼しかき集めて来た資料を並べまとめていた。
ボールペンを走らせていた手が止まり、自身の頭でノック音をリズムよく鳴らし始める。貰った資料に特に矛盾している点はない。経歴も、元々住んでいた所在地もすべてアンダーが昔言っていた通りで偽りはなかった。ただひとつ気になることがあるとすれば――。
私は数枚机の端に避けてあった資料を手に取った。
一枚目は過去に金融機関から2000万円以上の借金をしてることを裏付ける資料で、もちろん返金がままならずに利子が膨大に膨れ上がりブラックリストに加わっている。
二枚目は口座の振り込み履歴が記載された資料の一部。
特に気になるのはこの二枚の資料だ。
料理長であれば安定した収入があるはずなのになぜわざわざ貯金があるにも関わらず借金をしたのか、その貯金すべてがごっそりと抜かれている事も気になる。
そしてこれがすべて5年前に行われたことと情報を得た頃には3月の上旬へと差し掛かっていた。
まだ春の気温とは言えないキンとした空気に触れながら米花町の歩道を歩く。向かう先は待ち合わせ先の喫茶店ポアロ。
カランカラン、と扉を開ければ聞き覚えのある声で「いらっしゃいませ」と店員が出迎える。
出迎えたのは安室透として潜伏し、ポアロでアルバイトをしている上司である諜報員の公安警察の降谷くん。
「あれ、…今日は非番だと聞いていたんですが…」
「ええ、非番でしたよ。マスターに急な予定が入ったらしくで、今日はヘルプで。18時から梓さんが入ります」
安室透としての営業スマイルを見せつけられ私思わず苦笑いを浮かべた。
「おひとり様ですか?」
「いいえ、待ち合わせで」
「あ! コナンくん来たよ! お姉さんこっち!」
喫茶ポアロの店内、カウンター席から一番離れた奥のテーブル席から手招きするのは歩美ちゃんだ。
同じく、テーブルに座っているのは少年探偵団と名乗っていたコナンくん、哀ちゃん、元太くん、光彦くん達もいる。