【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「ごめんね、お姉さん。非番だって聞いたんだけど…代わりに一番奥の席取ってもらったから、多分声は聞こえないと思うから大丈夫」
手招きされた席の方へ駆け寄れば小声でそうコナンくんが言う。
「いろいろ本当にありがとね、皆何か頼む? 私が持つから何でも好きなモノ頼んでね」
そう言ってメニュー表を取り出して皆で囲む。
チョコケーキ、ショートケーキ、ロールケーキにオレンジジュースとコーラにレモネード、元太くんと光彦くんと歩美ちゃんと違って遠慮がちになっているコナンくんと哀ちゃんに「二人は私と一緒でもいいかな?」と顔を覗き込めば「じゃあ、お言葉に甘えて」と哀ちゃんが頷いた。
店員である安室さんこと降谷くんを呼べば「ご注文は?」と伝票を片手に営業スマイルを見せつけている。
もちろん降谷くんは私が今日ここへ来ることも、コナンくんと会うことも知らない。一見笑顔をみけているように見えるがその奥で、まるで『なぜここへ?』『何をしに?』と圧欲で質問攻めされているのは目に見えている。
うまいように交わしながら皆の分を注文すれば。彼はまた何事もなかったかのように「ドリンクのみ先にお持ちさせて頂きますね」と言葉を添えて下がっていく。
皆のケーキとドリンクが来るまで世間話が始まった。元太くんと光彦くんと歩美ちゃんが今週の仮面ヤイバ―の話で大盛り上がりで正直数倍年上の私は楽しそうに話しているのをうんうん頷きながら見つめていると隣に座っていた哀ちゃんがジャケットの裾を引っ張る。
視線を向ければ「どうなったの、彼」と小声でそう聞いて来る。背後にはコナンくんも耳を傾けている様子でやっぱり二人は他の小学生とは違う知性を感じる。
「それも後でね。…あの定員さんに聞かれた困るから」
同じように小声でそう返しながら横目でちらりと視線を向け二人は小さく頷いた。
しばらくして、ドリンクとケーキが順番に運ばれてくる。食事を運んでくるだけなのになぜか痛いほど視線を感じたのは多分気のせいではない。他の客とは違い伝票を机の端に置くのではなく手渡しして来る時点ですべてを物語っていた。
完全に盗み聞きするつもりだ。
だがしかし、そんな易々とこの話を漏らすわけにはいかない。この計画が漏れてしまえばすべてが台無しだ。
予定鳥時間をおいて、約15分後、私は降谷くんが違う作業に移ったのを見計らって口を開く。