【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「宮下……松田とそんなに仲良かったのか?」
降谷くんの反応を見るからして、もしかして松田くんはあの4人でさえ付き合っていたことを言っていない様子だった。
降谷くんの記憶だと警察学校の頃の私が松田くんにちょっかいを出されて起きれはててる所しか見ていないのだろう。それに警察学校を卒業して連絡先を交換したのは伊達くん、萩原くん、諸伏くん、松田くんの4人。
そこから時々連絡を取っていたのは伊達君と松田くんだけだったし、となると佐藤さんとかいう刑事はよっぽど松田くんが想い入れしていたに違いない。
私はもう終わったことだし、と口を開きかけ舌で少し転がした。なんかいろいろと聞かれてもそれもそれでめんどくさいし困ってしまう。
「あー…なんか時々連絡くれてたよ。あと台風の時うちに避難してきた時とかありましたね~」
私はゆっくりと話を流していくように語尾を伸ばして立ち上がる。
「それより、今一番やばいとこってどこですか」
他は言わなくてもおそらく意味は通じるであろう。そう言いながら私は降谷くんに電話のジェスチャーを見せながら振り返る。「受付と刑事課だ」と端的に答えれば私はすぐにその階へと向かおうと歩みを進めた。しかし途端降谷くんが腕を取って歩みを止める。
「責任は俺が取る。そういう為に上司がいる。宮下もお前達も、気にせず捜査を続けてくれ。 明後日はクリスマスイブだ。人も多くなるし別件での問題もいつもより多発する見込みだ。今のうちに計画は練っておけよ」
降谷くんは集まっていた皆にそう伝えると短く返事をしてその場を後にする。
「風見は宮下についてくれ」
「わ、わかりました」
同じくその場を後にしようとする風見さんの肩を降谷くんが掴むとそう言った。私も思わずジャケットを羽織る手が止まる。
そういえば、降谷くんはどうして私にそこまでしてくれるんだろうか。
「どうした、……俺は駒なんだろう?」
その言葉に私はしばらくしてフッと笑みを浮かべた。
そうだ、そうだった。
「…大変便利な駒で助かります」
私はそう吐き捨てると風見さんの腕を取って会議室を後にした。