【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
『警察何やってんだよ』
『やっぱり日本の警察は無能だな』
『女刑事⁉︎ かっこいい! まあ頑張れ!』
『元凶は犯人なんだから警察の人たちは悪くなくない?』
『警察が殺人犯に助けられてて草』
『6:26で撃てば犯人殺せたのに』
『ひとまず少年が無事でよかったです』
今一番日本で今騒がれている国際指名手配犯の逃亡ともあってか、一部始終のコメントは1万件を超えており、心ないコメントが大半を占めていた。
「ぬわあああ!!!」
「ちょ!? 宮下さん落ち着いて下さい! 一応国の税金で頂いたものなんですから!」
公安のなかでも最新であろう薄型のデスクトップの画面を鷲掴むと行き場のない感情をパソコンに向かって吐き出せば、慌てて風見さんがガタガタと揺れるデスクトップを両手で押さえる。
「……なんて、冗談ですよ冗談。……………でも、これは私の問題であって、別に他の警官が悪いとかそんなの関係ないじゃないですか。少年も居たんです。犯人を逃さないと思って撃った風見さんも少年の安全を優先して撃たなかった警官もどちらも正しいです。それを自分の行いで全てを悪にされるなんてこの上ない屈辱でいっぱいです……」
「……世の中は理不尽なことばかりです。僕達が思ってるよりずっと。…特に警察官ともなれば、なおさらです」
私は頭を抱え流れるようにその手顔を覆った。
「この国を守る。それが私達の使命であることは私達公安だって分かってる。でも私達は、あくまで人間で、公安であって完璧な人間じゃないのにね…」
私なんてつい最近まで都会の離れで整備士だったんだから…、と手のひらでそう呟いた声がごもった。
またアンダーの捜索が逃したことによって振り出しに戻る。これがどれほどの失態か私だって十分理解している。
〝『焦ったら、全部相手の言いなりだ』〟
またどうしてこんな時に。あんな奴のことなんて思い出すんだ。
どうせもうこの世に存在しないのに。
「焦りは、最大のトラップか…」
「焦りは、最大のトラップね…」
ふと無意識に呟いた声が重なり思わず声のした方へ振り返った。私の真後ろに腕を組んで立っていた降谷くんの目が合った。
さすがの降谷くんもまさか言葉が被ると思っていなかった様で、一瞬お互いに唖然としている状態か続いた。
なぜ宮下が知っている?
降谷くんはそう言いたげな表情だった。