【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
〝さよならを言うことは、少しだけ死ぬと言うことだ。〟
「俺はずっと、そういう世界を生き続けていたんだ。…Baby、君が知らなくていいことさ」
なにを言っているのか、なんのことを言っているのか、私にはまだわからなかった。
すると突然アンダーが私の腕を引く。引いた途端私は勢いに任せそのまま彼の足技で横転する。その隙にアンダーは走り出し、その後を風見さんが追った。
周りにいた人達が何事かとざわつき始めるのを背後に私は無線のワイヤレスイヤホンを起動させた。
「こちらC班、浅草でレイス・ヴィリアントを発見。応援を…ッ」
立ちあがろうとすれば横転する際に打った肩がズキズキと痛み出す。翌朝絶対にアザになってると思いながら痛みに耐えながら私も風見さんの後を追った。
風見さんが向かった先程通った雷門前の交差点へと向かえばそこはパニック状態だった。逃げ出す人々やカメラを向ける人、信号を無視して先へ逃げる車。
交差点の真ん中でミリタリーコートを着たアンダーとモスグリーンのスーツにコートを着た風見さんがお互いに銃を構えている。風見さんの背後には近くにいた交番の警察官が数人、拳銃をアンダーに向けている。アンダーに手錠は付いたままだ。
肩を押さえながら、周りにいた人へ離れるよう声をかけながら交差点の真ん中へと向かう。
「大人しく、両手を上げて」
風見さんがそう落ち着いた口調でそう言った。
「周りの人を、巻き込みたくはないでしょう。……まだやり直せるよ」
そう呟けば白い息が私の目の前を覆った。
「君の両親を殺したのも俺だ」
「知ってるよ」
「他にも沢山殺したさ」
アンダーはそう言って鼻で笑う。
「言っただろう。君が知らなくていいことだ」
「だったら私は、今こんなところにはいない」
「何を馬鹿なことを言って−−」
そう言いかけた時だった。
「優斗!」
−−ゆうと?
女の人がそう名前を叫んだ時だった。
声のする方へ振り返った途端、すれ違い様に小さな何かが私達の横を走って行く。子供だ。
名前を呼ばれた男の子は止まることなくアンダーの横も何事もなく通り過ぎて行く。しかしその先には騒ぎで通行止めにあっている車たちが避けて通ろうとまばらに車が行き交っていた。