【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第1章 「整備士」×「RX-7」
なんて本人に聞かれたら殺されるなと思いながら、バックでRX-7をキャリアカーから下ろしていく。丁度下ろしたタイミングで目の前のキャリアカーが動き出した。
大きくハンドルを切って出入口へと左折すると、ちょうど左右を確認するタイミング運転席にいる眼鏡の彼と目が合い、私が手を振ると一度会釈をして私道へと乗り出し降谷くん達はボロボロになったRX-7を置いて元来た道を帰って行った。
後部座席に置いてある丸ごと外れた運転席のドアの欠片を軽く確認して運転席から降りる。
そしてもう一度少し離れて真正面から降谷くんの愛車であるRX‐7を直視した。
降谷くんもRX‐7も命をかけ過ぎている。
でも、もしかしたら、ある意味運命共同体なのかも。
私の知っている車好きは口をそろえて相棒だの恋人だの言って綺麗に扱っているというのに。
よく世間一般では、モノへの扱い方は恋人への扱いと同じと聞いたことがある。ボロボロになったRX‐7を見ながら思わず乾いた笑いが漏れてしまう。
まさかね。でも、これだけ見たら絶対DV彼氏だ。乾いた笑いが快活な笑いへと変わっていく。
「お金と権力だけ持ち合わせた無慈悲な男で、ああいう扱いをする奴とはさっさと別れた方がいいよ?」
でも、冷静になって考えたら、どちらの気持ちも分かる気がした。
相手が相棒だろうが恋人だろうが、危険な道を進むのであったら、きっと私も同じ道へ向かうと思う。相棒なんだから、恋人なんだから、一緒に命かけて当然だと。
「まぁ、本当に嫌いだったら、あんな大金払って治しになんて来ないよね。………ツンデレってやつ?」
真っ白の塗装にハッキリとボンネットに刻まれた擦り傷をなぞりながらつぶやいた。