• テキストサイズ

【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第1章 「整備士」×「RX-7」



×××


「部品が廃盤?」
『ああ、ちょうど一ヶ月前に契約を終了したとメーカーが…それにまだ終了して一ヶ月だからヴィンテージモノの流通もなくて…』
「わかった、いつもありがとう。後で口座に振り込んでおくから」
『いいよいいよ、何もしてないんだし』
「探してもらったんだから、対価だよ対価。それじゃあまた何かあったらお願いね」

そう言って私はパタンッ、とガラケーを閉じガレージのパイプ椅子に背を預け抜け殻のように伸びる。

時刻は深夜一時、ガレージの二階――夕暮れ色に染まっているランタンと蛍光灯に小さな蛾が数匹集まっている。
もう小っちゃい虫でわーきゃー騒ぐか弱い女ではなくなってしまったことになぜだか悲しくなる。

「契約終了って…、契約終了する前に私に先に許可取ってよぉ…」

腕を顔に被せ現実を受け止めきれずぐずぐずとうねり、光に群がる芋虫のごとく現実逃避する。
朝よりも大きなため息を吐くと同時にパイプ椅子から立ち上がると、用具用の引き出しを漁り取り出したのは鉄同士を接合したり固定する為に使われる“はんだ”という工具。まだ電気の通ていないコンセントに差し込んで、机の端に立てると、今度はそこらへんに落ちていた針金と鉄の板の欠片を拾い上げる。
ボロボロになった部品と一緒に綺麗に作業台に並べ、一度腕を組んで考え込むと皮手袋と作業台の目の前の壁にかけてあった安全ゴーグルを身に着けたのを合図に安全靴でコンセントの電源ボタンを器用にオンに変えた。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp