【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
捜査一課に餌付けをした所で私は資料室とその近くの会議室をひとり占領していた。
アメリカ籍の外国人が起こした事件を片っ端からピックアップし選別をしている。もちろん未解決事件の事件も対象に入れる。ある程度それっぽい資料が集まれば……後は、アメリカ大使館で集められるだけの情報は集めた方がいい。
そこからまた彼に関連性があるかを片っ端から調査するまでだ。
集めてきた資料を小型のスキャナーに通しデータ化してバイクのキーホルダーになっているUSBへと送り込む。
外部に持ち出したなんて知られたら降谷くんにどやされるから現物として残ってしまうのは厳禁だ。出入口から顔を出し人通りがないことを確認すると素早くキャスターを会議室へと戻し、かき集めていた資料も元あった場所へと返却し私は何事も無かったかのように警視庁を後にし、アメリカ大使館へ向かっている途中だった。
警視庁前、入口には数人の人だかりができていた。
警備員さんが何やらなだめている様子だった。自動扉が空き外へと踏み出せばある40代の女性が私に縋ってくる。
「あなた刑事さん!?」
「……まあ、はい。そうですがなにかなさいましたか? こんなに人だかりで……」
「今日ニュースでやってたでしょ! あの外国人の人! 元々娘と婚約していた人なのよ! 直前になって行方不明になって、お金だけ持って行かれたの!」
…………は?
一瞬何を言っているのか分からなかった。
「俺もだ! 俺もたまたま歩道で妻の車椅子が引っかかっていたところを助けて貰ったからつい良い人だと思って……」
年老いた男性がそういえば口々にその場にいた皆が声を上げた。
ああ、ダメだ。もうどうしようもできないかもしれない。信用も信頼も、希望も全てが真っ白になった。
こんなに加害者がいるのに、私は一体何をしてるんだ。
何を私は信じているんだ。
私は、恐れていたのかもしれない。もう一度何かを失うことを。失ってしいまうかもしれないあの時と同じ思いを。
自分の心情で動き回って、庇って、それからどうなる。
私はこの国を守る公安。私が守りたいのは、したいことはーー
もう、あの時と同じ思いを誰にもさせたくない。
彼が、この国にいる国民を、傷つけ心に深い傷を付けたことに代わりなんてないんだから。