• テキストサイズ

【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第6章 「元整備士」×「コルベットC7」



「ちょっとあなた、資料室を使う場合は外の札を使用中にしないとダメでしょ」

警視庁のとある階の資料室。
そこは資料を長期保管しているため夏でも湿度と気温が低く保たれている。
資料を手あたり次第漁っていればどこからか聞こえてくる声の方へ膨大なファイルが並んだ棚から顔を出すと声の正体はすぐそこまで近づいていた。

「すみません、急用で」
「あ、あなた……」
「ああ、この前はどうも」

そう言いながらポケットから警察手帳を出してわざとらしく挨拶すれば、佐藤さんはなぜか私が見せびらかしていた警察手帳をゆっくりと手に取った。
仕様は皆同じはずなのに、何がそんなに気になるのかじっと見つめている。

「ねぇ、もしかして松田くん知ってる?」

私そんなに変な顔して写真撮ってたっけ、と思い当たる節を探っていると突然同期だった松田くんの名前が上がり目を見開く。

「松田くんと一緒だったんですか」
「やっぱり、あなたのことだったのね宮下って」
「…松田くんが何か言ってたんですか?」
「逆に彼が話さないと思う?」
「そう言われればそうかもしれないですね」

私はそう鼻で笑う。

「災難だったわね」

佐藤さんから言われたその一言で、松田くんが佐藤さんにどこまで話したのかを私は瞬時に理解した。

〝『お前に似たひとがいるんだよ。変なところで強気でさ』〟

多分佐藤さんのことなのかな。
昔松田くんからそう言われたことを思いだし、私は少しだけ目を泳がせる。

「いえ、………その時にはもうとっくに別れてましたし」

そう渋りながら返された警察手帳を受け取り再びポケットにしまう。

そして「あ、そう言えば」と、唐突になにかを思い出したかのように声を上げると持っていた資料を棚へ戻し、脇に挟んでいたお菓子を差し出した。

「この前迷惑かけたので、お礼です」

手渡したのは最近銀座にできたというパリで有名なチョコレートのお店。日本でのオープンを記念して日本人向けに焼き菓子の新作も販売したことから連日長蛇の列が途絶えないと数ヶ月前頂いた方からそう聞いた。
あいにく急いでいたせいもあって紙袋は忘れたが包んではあるので大丈夫だろう。

「ちょ……っ! これってあの……わざわざ並んだの!?」
「………はい!」

驚愕する佐藤さんを前に私は少し間を開けて考えると、にこやかな笑顔そう返事をした。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp