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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第6章 「元整備士」×「コルベットC7」



ホースを持ち車全体に水を被せれば排水溝へと流れ落ちる。ある程度全体へ水をかけると、身に着けられる手袋タイプのキメの細かいスポンジで作った泡で車を覆い優しく洗い始める。

「まあ日本よりは流通はしているな。エンターテイメントとしてもサービスとしてもあるくらいだからな」
「羨ましいですよ、手洗い洗車日本じゃ少な過ぎて勉強できるところが少ないんです」
「なら君が新しくあみ出せばいい」
「またそんな簡単なことを、私もう本業整備士じゃないんですよ」

手を動かし水の滴る音がする中そんなたわいもない世間話が続いた。

「そういえば、なぜ急に今日連絡を? 今公安は忙しい頃だろう」

数分すれば煙草を吸い終えた赤井さんが持ち込んでいた缶コーヒーに煙草の吸殻を落としながらそう言った。

「なんか、休みをもらいました」

程よく人肌に温まった車庫に、通常よりも少し生温かな水が肌と衣服に触れる。

真冬だというのにタンクトップにワイシャツと薄着の私に赤井さんは「寒くないのか?」と問いかけられれば「濡れたら余計寒くなるので、それにどちらかというと熱い方が苦手ですね」と答えれば赤井さんは思い立ったかのように立ち上がり自身のアウターを脱いで座っていたパイプ椅子に掛けると、近くに置いておいた予備のスポンジを手に取ると自身で愛車を洗い始めた。だからと言って私は止めるような言葉は発さず、まるで何事もなかったかのように手を動かす。

「つまり君に休みを与えた理由が分からないと…?」

しばらくして、赤井さんが再び私に問いかけた。

「無関係の事件の犯人に仕立て上げられ、今日本中の警察官が国際指名手配の犯人捜査にに追われている中、君に休みを与えた理由は一つしかないだろう」

赤井さんは私に歩み寄ると問う言いながら手に持っていたホースを奪い取って私の目の前のドアガラスに浴びせた。洗車する前は水垢がこびりついていたガラスもボディも泡を水で流しただけでするりと落ち室内の蛍光灯の光を反射させている。そのドアガラスを赤井さんはコンコンッとノックする。一瞬赤井さんを横目で見てから私は窓ガラスに視線を移した。それは一件ただのドアガラスすぎない。

「それほど顔に出ているということだ」

その言葉に、私はドアガラスに映っていた自分に視線を向ける。そう言えばと、私はあの事件後からの自身の行動を振り返った。
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