【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「ごめん、なんか泣きそう」
「え!? す……すみません! そんなつもりでは………」
「違うの、なんか嬉しくて」
やっぱり、キャリアを持った人間が言う言葉の重みが違う。
差し出されたハンカチを有難く受け取り目元を押さえると、胸に手を当ててふぅっ、と呼吸を落ち着かせる。
「しかし、今回は私の不注意で起こった事故なのは間違いありません。現在入院している彼女さんの治療費と入院費は私が負担します。慰謝料も出します。勿論これで解決するとは思ってません。私はこの事件の重要参考人でかつ公安警察。私が必ず犯人を捕まえる事を約束します」
怒りの行き先がなくなってしまい、その場に座り込み俯いていた男の人が顔を上げた。
「……本当なんだな?」
「日本の警察は、こうみえて優秀なんです。それに、企画課の名を汚す訳にはいかないですから」
「君が捕まえるって……犯人に、心当たりがあるのかね?」
ネームプレートに目暮と書かれた刑事部が私にそう問いかけた。
「…………まだ、犯人とは決まっていません。しかし、犯行の前に私の家に遊びに来た人が一人います」
「それは、一体誰なんですか……?」
白鳥さんが問いかけた。
確かな証拠と不明な動機。
信じたい。だから私は、貴方を振るいにかける。
「先日、家に5年ぶりに日本に来たと言っていた。亡くなった父の友人であるレックス・アンダーソンというアメリカ人の男性です」
それでも私は信じたい。
そして真犯人を、必ず捕まえるんだ。
「ちなみに誰ですか。被疑者と加害者を取り調べ室に入れるタイミングを同じにしたのは? 事前に取り調べ室の番号で加害者をミラー室に向かわせるんだからたまたまって訳ないよね? 警察学校で習ったよね? この事件の担当責任者誰」
赤くなった手首としわの付いたYシャツをわざと見せびらかしながら言えば、座り込んでいる男と苦笑いしている風見さん以外の全員がビクッと肩を強ばらせた。