【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
横で佐藤さんに高木さんが耳打ちをししばらくするとポケットから手錠の鍵を取り出すと私の拘束を解かれ両手が自由になる。
「今のところ手錠は解除してあげるけど、まだ証拠の確定書が作られるまでは署に居て頂戴ね」
「もちろん」
そう言って少しだけ赤くなった両手首を交互に見つめては何度か握って腕を下ろす。
「そういえば、……風見さんどうしてここへ?」
私達は今、世界規模の調査に追われている。もれなく企画課に所属している者は全員操作に駆り出されており、今日は会議の予定もないはず。
未だ呆然と立ち尽くす私に風見さんは振り返り視線を向けるとメガネの縁を指の腹でクッと上げると視線を逸らした。
「降……上司から宮下さんが別件で重要参考人として署に連行されてることを聞きつけて、ここへ来た所丁度騒ぎになっていたもので」
「相変わらず仕事が早い……」
「全くです」
「風見さん、私が犯人だと思わなかったの?」
「いいえ、逆です。こんな証拠がなくても、私もあの人も、あなたはそんなことしないと信じていましたよ」
「1ミリも?」
後から自分でも、何故そんなことを聞いてしまったんだろうと思った。
確かにしょうこはある。だから風見さんは今私疑いはかけてはいないが、私が連行されると知った時、風見さんもまた私に疑いの目をかけていたんじゃないかと。
降谷くん頼まれたからとか、疑っていたからと言ってどうこうという訳ではなく、私のただの興味本位だった。
それに、まさかそこまで聞かれると思っていなかったのか。その質問に風見さんは戸惑いの表情を浮かべながら口を開いた。
「そう聞かれると、嘘になってしまいますね。……言い方を変えましょう。信じたい。だから真っ先に貴方を疑いました」
〝「たとえどんな人でも、俺達は疑わなければいけない。たとえ仲間でも、大切な人でも」〟
たとえ決定的な証拠があろうとなかろうと。仲間でも大切な人だろうと。
〝疑う〟それは時に信じることでもある。信じる根拠となり証拠となる。
この時初めて、私は降谷くんの言っている意味も、その理由もわかった気がした。